研究課題
通信事業者が提供するケーブル回線を用いて盲学校をインターネットに接続し、視覚障害者が自ら音声でソフトウェアを操作してWWW(World Wide Web、いわゆる「ホームページ」)を閲覧することが可能な環境を構築した。電子メールの交換、およびWWWにおけるニュース記事の閲覧については、音声インターフェースを介したインターネットの利用が十分な実用性を有していることを示した。インターネット、とりわけ操作情報の視覚への依存性が高いWWWの世界では、一般に障害者が情報アクセスに困難を感じることは少なくないが、視覚障害者のアクセシビリティに配慮したWWWのあり方にについて、主として情報発信者の立場から考察した。そして、現状の問題点を整理するとともに、情報提供者が幾つかのガイドラインを遵守することで、障害者から見たWWWのアクセシビリティが格段に向上することを明らかにした。障害者が情報弱者の地位に押しやられがちな傾向に対して、情報技術の利用はそれを抑止する方向に働く可能性を持っている。そうしたメカニズムについて、障害当事者運動との関わりの中で明らかにした。また、近年進められている契約型福祉サービスの提供に関連して、市民にとって福祉情報が持つ意味を明確にした。来年度は、市民が社会生活を営む上で必要とする「市民情報」について、より明確な定義づけを行うとともに、情報の受発信において、行政、メディア、市民それぞれが取りうるアクションを、特に障害者への配慮という点から、盲学校など特殊教育諸学校における実践も含めて明らかにする。
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