考古遺跡で出土した古人骨および動物遺物の総合台帳を整備作成する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11791010
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 片山 一道 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70097921)
• 研究分担者: 井上 康二 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80213156) ; 松井 章 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (20157225) ; 百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50000146) ; 松浦 秀治 お茶の水大学, 生活科学部, 助教授 (90141986) ; 中村 俊夫 名古屋大学, 年代資料測定センター, 教授 (10135387)
• キーワード: 古人骨 / 動物遺存体 / 弥生時代 / 近畿地方 / 新方遺跡 / 骨考古学 / 年代測定 / 画像処理

研究概要

それぞれの分担者は、研究総括班(A班:片山、松井、清家)、古人骨研究班(B班:百々、井上、中橋、毛利)、動物遺存体研究班(C班:安部、本郷)、年代測定分析班(D班:中村、松浦)、データベース化推進研究班(E班:石田、熊倉、國松)に分かれ、それぞれの研究班は独自の目的を立てて自律的かつ有機的な研究を進めた。まずA班は研究の総合化を計るため、神戸市教育委員会の協力のもと、12月9-10日、人類学、考古学、地理学、文献史学、古代史などの関係研究者による公開シンポジウム「神戸新方遺跡から見た新視点」を主催した。最近の4年間にわたって進められてきた新方遺跡の発掘調査、そこで出土した古人骨および動物遺存体の研究、それらの中間報告を題材にして、近畿地方の弥生人像を構築すべく新視点を展開すべく努めた。読売新聞紙上等で大きく報道されるなど大成功を収めた。B班は各地の機関に収蔵される古人骨資料を臨検して、個人識別データの記録、写真記録の収集、年代測定用サンプル作成などの作業を進めた。C班は、同じく各地の収蔵機関で動物遺物資料を臨検して、動物骨の種類とうちわけ、総量、保存状況などのデータ記録、写真記録の収集、年代測定用サンプル作成などの作業を進めた。D班は、A班やB班がサンプリングした試料について、逐次、AMS年代測定(中村)、フッ素年代測定(松浦)を実施した。E班は、京都大学および大阪大学に所蔵される古人骨資料類を画像処理などの方法でデータベース化する作業を進めた。全員参加の研究集会は2回、6月に犬山、12月に神戸で開催した。当初の予定は滞りなく実施できた。

研究成果

• [文献書誌] Hukuda,S.: "Did ossification of the posterior longitudinal ligament of the spine evolve in the modern period? A paleopathologic study of ancient human skeletons in Japan."J.of Rheumatology. 27(11). 2647-2657 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "古人骨をみながら腰痛のことを考えた"本の旅人. 6(6). 78-81 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "歯は語る"本の旅人. 6(7). 90-93 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "歯は語る、その2"本の旅人. 6(8). 90-93 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "興奮の頭蓋骨会議"本の旅人. 6(9). 90-93 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "南太平洋に住むビッグボーンたち"本の旅人. 6(10). 102-105 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "骨屋が主人公の物語"本の旅人. 6(11). 90-93 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "骨折り損ない、そして草臥れ儲け症候群"本の旅人. 6(12). 80-83 (2000)
• [文献書誌] 片山一道: "旧石器発掘詐欺事件"本の旅人. 7(1). 100-103 (2001)
• [文献書誌] 片山一道: "死者の埋葬"本の旅人. 7(2). 116-119 (2001)
• [文献書誌] 片山一道: "骨屋は冬眠"本の旅人. 7(3). 118-121 (2001)
• [文献書誌] Dodo.Y.: "Flatness of facial skeleton of Ryukyuans."Anthropological Science. 108. 183-198 (2000)
• [文献書誌] Kondo,O.: "Estimation of stature from the skeketal reconstruction of an immature Neanderthal from Dederiyeh Cave, Syria.Jouranal of "Journal of Human Evolution. 38. 457-473 (2000)
• [文献書誌] Jidoi,K.: "Bony bridging of the mylohyoid groove of the human mandible."Anthropological Science. 108. 345-370 (2000)
• [文献書誌] 小片保: "福島県須賀川市牡丹平遺跡出土の弥生時代人骨."Anthropological Science(J-series). 108. 17-44 (2000)
• [文献書誌] 百々幸雄: "上顔高の計測法の違いが分析結果におよぼす影響ム頭蓋計測値によるアイヌと琉球人の比較研究を例にとつて."Anthropological Science(J-series). 108. 133-141 (2001)
• [文献書誌] 木田雅彦: "上の台遺跡第2次発掘調査出土人骨について"常磐自動車道遺跡調査報告15「上の台遺跡」. 389-398 (2000)
• [文献書誌] 清家章: "畿内周辺における箱形石棺の型式と集団"古代学研究. 152. 1-18 (2001)
• [文献書誌] 清家章: "吉備における同棺複数埋葬とその親族関係"古代吉備. 23. 16 (2001)
• [文献書誌] 清家章: "弥生時代の女性"瀬戸内弥生文化のパイオニア. 77-86 (2000)
• [文献書誌] 松浦秀治: "日本の「旧石器時代人骨」の年代-「縄文人」の出現に向けて-"日本人と日本文化. 14. 8 (2000)
• [文献書誌] 松浦秀治: "出土人骨の年代測定"大塚町遺跡. (in press). (2001)
• [文献書誌] 松浦秀治: "もうひとつの港川人-「上部港川人」."日本人と日本文化. 13. 8 (2000)
• [文献書誌] 松浦秀治: "日本列島の旧石器時代人骨はどこまで遡るか-化石骨の年代測定法"考古学と化学をむすぶ. 135-167 (2000)
• [文献書誌] Matsu'ura,S.: "First known tibia of an early Javanese hominid."Current Anthropology. 41. 297-300 (2000)
• [文献書誌] 松浦秀治: "群馬県立自然史博物館所蔵エジプト産ミイラ標本の放射性炭素年代測定."群馬県立自然史博物館研究報告. 4. 19-22 (2000)
• [文献書誌] 楢崎修一郎: "日本の旧石器時代人骨."群馬県立自然史博物館研究報告. 4. 23-46 (2000)
• [文献書誌] 安部みき子: "大和川今池遺跡出土動物遺体について."大和川今池遺跡(その1・その2). 53. 318 (2000)
• [文献書誌] 安部みき子: "鬼虎川遺跡出土の人骨と動物遺体."鬼虎川遺跡第44時発掘調査報告. 110-116 (2000)
• [文献書誌] 安部みき子: "田井中遺跡出土の動物遺体."田井中遺跡発掘調査概要. IX. 20-21 (2000)
• [文献書誌] 安部みき子: "田井中遺跡出土の弥生時代人の歯について."田井中遺跡発掘調査概要. IX. 19 (2000)
• [文献書誌] 安部みき子: "岐阜県羽原貝塚出土のイヌ骨について."羽原貝塚発掘調査報告書. 180-185 (2000)
• [文献書誌] 中橋孝博: "中国江淮地域出土古人骨の人類学的研究"日本中国考古学会会報. 10. 82-100 (2000)
• [文献書誌] 中橋孝博: "上月隈遺跡群第3次調査出土の弥生人骨."福岡市埋蔵文化財調査報告書. 634. 43-44 (2000)
• [文献書誌] 中橋孝博: "福岡市雀居遺跡(第7・9次調査)出土の弥生前期人骨."福岡市埋蔵文化財調査報告書. 635. 183-188 (2000)
• [文献書誌] 中橋孝博: "岐志元村遺跡出土人骨の分析"福岡県岐志元村遺跡. 106-113 (2000)
• [文献書誌] 中橋孝博: "福岡県大刀洗町甲状神社遺跡出土の弥生人骨."大刀洗町文化財調査報告書. 20. 42-44 (2000)
• [文献書誌] 大森円: "花立山横穴墓群出土の古墳人骨について."小郡市文化財調査報告書. 171. 58-65 (2000)
• [文献書誌] 中橋孝博: "岐支元村遺跡出土人骨の分析."福岡県岐支元村遺跡. 106-113 (2001)
• [文献書誌] 古賀英也: "西日本古代人における前頭洞形態の時代変化."比較社会文化. 6. 29-36 (2000)
• [文献書誌] 池田次郎: "日本の古人骨に関する文献(1990-1994)."人類学雑誌. 108. 103-131 (2001)
• [文献書誌] Inoue,K.: "Prevalence of large joint osteoarthritis in Asian and Caucasian skeletal populations."Rheumatol.. 40. 70-73 (2001)
• [文献書誌] Inoue,K.: "Prevalence of hip osteoarthritis and acetabular dysplasia in French and Japanese adults."Rheumatol.. 39. 745-748 (2000)
• [文献書誌] Hukuda,S.: "Spinal degenerative lesions and spinal ligamentous ossifications in ancient Chinese populations of the Yellows River Civilization"Int.J.Osteoarchaeol.. 10. 108-124 (2000)
• [文献書誌] Kawasaki,T.: "Effects of estrogen on interleukin-6 production in rheumatoid fibroblast-like synoviocytes"Clin.Exp.Rheumatol.. 18. 743-745 (2000)
• [文献書誌] Mori,K.: "Polymorphic CAG repeats of the androgen receptor gene in Japanese male patients with ankylosing spondylitis."Rheumatol.. 39. 530-532 (2000)
• [文献書誌] Huang,J.: "Vitamin D receptor gene polymorphisms and osteoarthritis of the hand, hip, and knee : a case-control study in Japan"Rheumatol.. 39. 79-84 (2000)
• [文献書誌] 毛利俊雑: "ミトコンドリアDNA変異を用いた種判別:沖縄県首里城出土マカク古骨ど現生種の比較"霊長類研究. 16(2). 87-94 (2000)