研究分担者 |
韓 秀峰 東北大学, 大学院・工学研究科・日本学術振興会, 特別研究員
久保田 均 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30261605)
安藤 康夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60250726)
菅原 淳一 ソニー株式会社, 研究員
熊谷 静似 ソニー株式会社, 主任研究員
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研究概要 |
本研究ではスピントンネル素子をヘッドに用いることを想定し,最適な(1)素子構成,及び(2)作製プロセスを構築し,これらをもとに磁気抵抗ヘッドの設計および試作を行うことを目標としている.本年度はトンネル抵抗及びトンネル磁気抵抗(TMR)変化率を再生磁気ヘッドに適用可能な範囲内に制御できるように,積層厚,積層プロセスの検討を中心に行った. 伝導性原子間力顕微鏡を用いて酸化アルミニウム薄膜のラフネス及び局所的伝導特性を調べた結果,アルミニウム膜厚0.8nm以下では酸化アルミニウム薄膜にピンホール欠陥があることが分かった.そのため,下部電極に種々の金属薄膜をバッファー層として用い,酸化アルミニウム薄膜の直下の磁性層表面のラフネスの低減及び結晶配向性の向上をはかった.バッファー層にはアルミニウム,パーマロイ,銅及び白金を用いた.その結果,表面ラフネスはアルミニウム>パーマロイ>銅>白金の順に減少した.平均粗さは銅,及び白金の場合,それぞれ0.4nm及び0.3nmであった.結晶配向はそれぞれの元素のfcc(111)面ピークのロッキングカーブの半値幅で評価したところ,アルミニウム>銅>パーマロイの順に減少した.半値幅は銅,及びパーマロイの場合,それぞれ6.5°及び3.5°であった.これらのデータをもとに銅及び白金をバッファー層として用い,0.8nmのアルミニウム薄膜を用いて接合を作製したところ,トンネル抵抗値及び磁気抵抗比がそれぞれ,1kΩ-μm,49%及び300Ω-μm,31%のデータを得た.これらの接合は従来のそれよりも優れた特性を示し,スピントンネル再生磁気ヘッドとして要求される特性に近づいた.今後,酸化方法・条件の最適化をはかり,抵抗値を更に低減する必要がある.
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