研究概要 |
本研究の目的は、a)さらなる高い高空間分解能を有するOCT技術の研究開発、b)幅広い臨床応用に対応する新規断層画像測定技術の研究開発である。これに対して、次の成果が得られた。 a)高空間分解能用合成光源:複数の光源を用いる合成光源の最適設計法を提案し、合成光源のコヒーレンス長を実測して、高空間分解能化への有用性を示した。800nm帯の2つのSLDと1つのLEDを用いて、合成光源を試作した。最適強度比でパワーは、約440μWである。単独での最短コヒーレンス長の約67%に減少させた。サイドローブは、メインピークの約6%に抑えた。 b)高次高調波信号を用いたヘテロダインビート信号の安定性向上:ヘテロダインビート信号の8次までの高調波成分、正弦波・三角波位相変調、さらに光源の拡張としてレーザ光源、SLD、ハロゲンランプに関して、理論的・実験的検討を行い、位相変調指数などの条件、安定性の向上を定量的に示した。 C)小型干渉画像光学系を用いたOCTの試作:小型干渉画像光学系として、同軸型ミロー干渉系を提案した。実験では、波長:840nm,コヒーレンス長:43μm、光出力:2mWのSLD、20倍の対物レンズを用いて、同軸型ミロー干渉系を構成した。光軸、横方向分解能は、それぞれ21μm、10μmであり、散乱試料として5円硬貨の表面を測定した。 d)光波共焦点走査型断層画像測定法:共焦点レーザ走査型断層画像測定法とマルチ入射ビームによるドップラー法との組み合わせによって、断層画内で血流などの三次元速度ベクトルと断層画増の同時測定を行う光学システムの基礎検討を行った。実測より断層画像と速度ベクトルの同時測定が原理的に可能であることを確認し、空間分解能約10μm、ダイナミックレンジ30db、血流速度に近い±2mm/secの範囲でのドッブラーシフトを測定した。
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