研究概要 |
各種工業用金属材料の表面処理は,機械の長寿命化,トライボロジー特性の改善,省エネルギー化などに貢献してきている。また,超微細機械の開発に際しても、各種コーティング処理や金属薄膜材の特性,たとえば疲労強度特性の改善が不可欠である。一方,最近の微視的観察装置の性能向上は著しく,プローブ顕微鏡やレーザー顕微鏡,3次元表面微細形状測定機などが開発され,材料の微視的構造や変形,強度などに関連した諸研究課題に応用されつつある。しかしながら,個別企業,特に中小企業においては,これらの機器を導入して強度やトライボロジー特性の改善に取り組んでいるところは少なく,この点地域連携研究によって,地元企業の技術レベルの向上をはかる。 13年度は本テーマに関する研究会を3回開催するとともに,下記の項目について研究を進めた。 ・まず,SPMのケルビンモード測定による表面改質表面電位の基礎的研究を進め,温度変化に伴う形状記憶合金の表面相転移に及ぼす塑性加工の影響について検討した。 ・膜材のミクロ組織に注目して、銅膜と鉄膜の圧延後及び焼なまし処理後の結晶粒形状や結晶配向の定量的測定とその疲労特性を明らかにし,基材に接着された薄膜材の疲労特性評価法の開発と,表面改質材の疲労特性・寿命評価について検討した。 ・各種多結晶金属材料を中心として,上記の各種測定装置を用いて,塑性変形に伴う表面微細形状変化および特性変化について,三次元的に調べ,結晶粒形状,結晶方位,超微小硬度等との関連について検討を加えるとともに,引き抜き加工における摩擦,潤滑について検討を加えた。 ・半球状に成形されたボールエンドCBN砥石を用いて、金属材料を精密輪郭研削する場合の形状生成過程を研削抵抗、表面形状などの解析により実験的に調べた。 ・高分子を含む表面蒸着層を形成する手法を応用して,その摩耗,潤滑特性向上をはかるとともに,その実用性の評価について検討した。 ・TiNなど数種類の表面改質材について数種類の潤滑剤を用いて摩擦・摩耗試験を実施し,摩擦係数の測定および摩擦面の観察,解析等を行い,最適設計,利用条件を検討した。 ・放電加工面の磨き工程の効率化について検討し,金型として使用するのに必要な手磨き工程を電子線照射によって効率化するための基礎データを得た。
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