研究課題
ナノメータースケールのSiO_2微小球を三次元周期で配列した人工オパールと、この人工オパールの空隙に高分子を充填した後にSiO_2を除去することによって得られるインバース・オパール、さらには、自己組織的にナノサイズ周期構造を形成するカイラルスメクチック液晶などからフォトニック結晶の作製を試み、さらに、これらと種々の機能性分子、高分子材料とを複合することにより、フォトニックバンドを外場によって制御するチューナブルフォトニック結晶の実現を検討し、本年度では以下の結果を得た。(1)人工オパールの空隙内にネマチック液晶を浸透させることにより、電界によってストップバンドの位置を制御する事に成功した。また、その電界応答がマイクロ秒と高速であることを明らかとした。(2)高分子インバース・オパールの空隙にネマチック液晶を浸透させ、ストップバンドの位置を電界により制御することに成功した。特に、この場合オパールに浸透した場合に比べてバンドのシフト量が大きいこと、応答が不連続でかつヒステリシスを有すること、さらに閾値以上の電界に対してメモリー効果を有することを明らかとした。(3)人工オパールに導電性高分子ポリアルキルチオフェンを溶融法により浸透させて、それより導電性高分子インバース・オパールの作製に成功し、ストップバンドの位置が温度、電気化学的ドーピングにより可逆的に制御可能であることを見いだした。(4)光重合性高分子から作製した高分子インバース・オパールが種々の溶媒を浸透させることによりゲル化し、ストップバンドの位置が溶媒に依存して変化する事を見いだした。(5)螺旋周期の長さが数百nm以下の短ピッチ強誘電性液晶に色素を添加し光励起することにより、ストップバンド端においてレーザー発振することを明らかにした。また、発光の偏光が強誘電性液晶の螺旋の捲く方向に依存して選択的に起こっていることを確認した。
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