研究概要 |
本研究で開発している三次元計測器では,TVカメラの焦点に原点を置いた座標系において計測を行っていた.しかしながら,TVカメラの焦点位置を正確に求めるのは困難で,汎用性を持たせるためには,任意の位置に座標原点を置いたワールド座標系で計測を行う必要がある.そこで,z軸テーブルとマルチスポット光を用いて,ワールド座標系との関係を決めるキャリブレーションを行う手法を開発した.異なる距離に平板を設置し,平板表面にマルチスポットレーザを投光し,その位置を撮影することでキャリブレーションを行い,高精度なシステムを実現できた.計測誤差は約1%以内となり,十分実用的であることを確認した. これまでの実験により,カメラの受像面に平行な成分に比較して,カメラから奥行き方向の計測性能がかなり落ちることがわかった.そのため,計測器を2台準備し,2方向から計測することで,互いの奥行き方向の計測を補う手法を開発した.それぞれの計測器で求めた計測値から格子点上の速度ベクトルを求め,コンピュータディスプレイ上にグラフィカルに表示するプログラムを開発した. 計測器は,運動立体視の原理に基づくために屈折レンズを高速に回転させる駆動部を含み,計測時に振動を起こし計測に影響を与える問題があった.本年度は,屈折レンズを小型化し,回転軸に埋め込むことで,振動を大幅に削減することに成功した. 画像処理によって,微小生物の状態を定量化し,新しい水質検査装置として確立することを試みた.具体的には,溶液中で運動する多数の微小生物(淡水:ミジンコなど,海水:アルテミアなど)をコンピュータで一定時間追跡することで,微小生物の運動状態計測を自動的に行う装置を試作し,その有効性を確認した.微小生物運動の特性を考慮したアルゴリズムを組み込むことで,リアルタイムで多数の微小生物をコンピュータで自動的に追跡することが可能になった.
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