研究分担者 |
山根 猛 近畿大学, 農学部, 助教授 (70158252)
村田 修 近畿大学, 水産研究所, 教授 (70088657)
山下 隆男 京都大学, 防災研究所, 助教授 (30111983)
吉岡 洋 京都大学, 防災研究所, 助手 (10027287)
田中 祐志 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (90207150)
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研究概要 |
近畿大学水産研究所は和歌山県田辺湾において,白浜漁業協同組合と共同で,白浜水産養殖種苗研究プロジェクトを実施している。この養殖海域での赤潮発生予測はプロジェクトのみならず漁業者には重要な研究テーマである。そのため,同一海域で沿岸海洋学的な観点から海水交換機構を研究してきた京都大学防災研究所白浜海象観測所が白浜水産養殖種苗研究プロジェクトと連携して,田辺湾における海水交換機構と赤潮発生予測に関する研究を立ち上げた。本年度で2年とあるが,これまでに行われてきた研究の成果を以下に示す。 (1)海象・水質・プランクトン個体数の観測:1999,2000年の6〜8月に,防災研究所の沖合観測塔,近畿大学の養殖筏を利用した水質観測システムによる環境モニタリング,プランクトン固体数の計測を実施した。 (2)3次元気象・海象シミュレーターの開発:田辺湾の海水交換の数値シミュレーションとして,σ座標を用いた準3次元海水交換モデルを開発している。流体運動(平均流、乱流)の基本プログラムコードはPOMであるが,水温、塩分といったスカラー量の移流・拡散を扱う場合には、数値拡散および数値粘性を極力抑えるため、z座標系でのTVD差分スキームを用いた計算手法を開発した。この場合,流動モデルの結果はz座標系へ変換した。開発した数値モデルを2000年の田辺湾での観測結果に適用し、水温変動,塩分濃度の3次元場が十分再現できることを示した。 (3)移動を考慮したロジスティック増殖モデルによる珪藻類の細胞数変動シミュレーションを試みた。富栄養化状態を仮定した計算となっているため,数値予測は観測値を上回る結果となった。田辺湾のような複雑な地形と広範囲な栄養塩環境を有する湾での底次生産者の数値予測の実用化のためには,栄養塩濃度の観測・予測システムの開発が最大の課題であることがわかった。
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