研究課題/領域番号 |
11792017
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 忠久 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (80017938)
|
研究分担者 |
萩島 理 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (60294980)
谷本 潤 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60227238)
|
キーワード | 蒸発比 / 降雨 / 人工被覆面 / 空洞実験 / 都市キャノピーモデル / 平均風速鉛直分布 / 蓄熱槽 / 地域冷暖房 |
研究概要 |
建築-都市-土壌連成系モデル(Architecture-Urban-Soil Simultaneous Simulation Model,AUSSSM)による都市熱環境シミュレーターの構築を目指し、本年度は特にAUSSSMを構成する各サブモデルの理論構成を中心にシミュレーター全体の精度向上を図り、以下の知見を得た。 1.土壌表層を1点集中定数化近似し、その水分収支を解くことで、土壌の濡れ具合を動的に考慮する簡易モデルとして、土壌蒸発フラックスサブモデルを構築した。モデル上必須となる蒸発比-正規化含水率特性、重力透水フラックス-含水率特性および水分拡散フラックス特性を数種の土壌種について実験的に同定した(現在審査付論文投稿中)。 2.実在建物外表面熱収支の長期測定を行い、降水後の人工被覆面からの蒸発量を簡易に評価する人工被覆面過渡蒸発フラックスサブモデルを構築した。モデルでは降水後の過渡的状況下の蒸発フラックスをいわゆる蒸発比により評価し、その減衰を考慮する点が最大の特徴である(現在審査付論文投稿中)。 3.高さが同一または異なる2種類の直方体模型群を整形または千鳥に配置して合計16種類の都市キャノピーを模擬し、地表面近傍平均風速およびキャノピー内外風速の3次元的特徴を風洞実験により明らかにした。実験から得られた平均風速鉛直分布をもとに都市大気サブモデルである1次元キャノピーモデルの適用性を検証した(2000年3月発表)。 4.福岡市の天神地区を高層高密都心の一例として模型化し、街路、オープンスペースなど複雑地表面における風速分布の3次元的特徴を風洞実験により調べた。また、同市の建物属性データベースを用い、1次元キャノピーモデルにあって建物の建て込み密度、高度分布を表す2つのパラメータに着目し、それらの都心から郊外への分布を調べた(2000年3月発表)。これらによりAUSSSMを構成する1次元キャノピーモデルの実在都市域への適用可能性や実在都市を模擬するモデルパラメータの妥当性を検討した。 5.これまでシステムCOPだけで一元的に表現されていた建築空調設備の取り扱い法について改良を加え、AUSSSMへ接続する建築空調設備・都市熱源システムサブモデルのフレームを作成した。考案モデルは、負荷率や大気側条件により変動する各種熱源機器のCOP動特性を考慮し、蓄熱槽や地域冷暖房システムも対応したものであり、システムCOPの変動特性および排熱の廃棄場所を介してAUSSSMへ接続される。当該サブモデルは地域連携企業との密接な研究協議により得られた成果である。
|