研究概要 |
平成11年度の福祉用具開発は,(1)入浴介護用リフト,(2)簡易リフト,(3)段差解消機,(4)歩行器,(5)手すり取り付け基準,(6)プル式缶オープンナーなどである. 平成12年度では追加開発として, (1)簡易電動車イス:これは手動車イスに50ccバイク用の電池(2コ)と小型モーター(2コ)を取り付けて,約7度程度の傾斜まで自力で登れるように改良した.障害者が少々の坂であれば介護無しで登れるとともに介護者の負担も軽減できる. (2)福祉用具の効果測定:上記開発した福祉用具のなかから(1)プル式缶オープンナー,(2)簡易電動車イスの2点を取り上げ,人間工学に基づく効果測定を実施した. (1)プル式缶オープンナー:誰でももっているドアキーを特定の形に削ったジュ.ス缶を開けやすくした器具である.利き手腕等の骨筋に筋電電極を取り付け,青年と老人の被験者に缶オープンナーの使用・非使用時の筋電を測定した.老人の場合,缶を指先であけることができず大きな筋電が生じたが,開発の缶オ.プンナーを使用すると開けやすく筋電も小さく,開発器具の効果が認められた. (2)簡易電動車イス:6度の傾斜地上で簡易電動車イスを移動させることを前提として,上腕二頭筋に電極を取り付けて実測した.電動非使用時には腕の力で登るために大きな筋電が発生するが,使用の場合には自力で登るため,小さな筋電しか発生せず,負荷軽減が顕著に認められた. 本研究は,呉地域の中小企業支援のために第三セクター「呉地域産業センター」の設立に伴い,その中の第3グループ「福祉機器研究部会」と連携を結び,本研究グル.プが開発した7種の福祉用具の起業化について昨年12月から数回にわたり検討会を開催している.このうち,簡易リフト・段差解消機の実用化について双方が共同で推進することで話し合いを続けている.
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