研究概要 |
流域の様々な要因や作用を「合成」したものである湖沼水質を改善するためには,これまで各機関で個々に収集・解析が進められてきた流域情報データを統合化し,統合的に活用することが必要である。本研究では琵琶湖流域を対象に国土交通省・農林水産省・滋賀県・大津市等の関係諸機関の協力を得つつ,環境情報をGIS上に統合し,誰でも利用可能な「環境情報システム」を作成することを目的として研究を実施した。 本年度は研究の最終年度であり,昨年度までに収集した琵琶湖流域環境情報を順次コンピュータ上に入力し,データベースを完成させた。対象とした情報は「琵琶湖内の水環境情報」,「流域水環境情報」,「流域の社会情報」,「環境関連法規・条例・各種計画」等であり,細目まで含めると総計32分類に及んだ。収集したデータの中には地下水データや内湖水質に関するデータなど,これまでにほとんどまとまった整理がされていなかった貴重なデータが含まれており,今後の琵琶湖の環境管理や研究における活用が期待される。また,データベースの利用方法の例示を目的として環境情報データベースのデータを用いた解析を実施した。解析例の中には内湖における物質除去率などの浄化機能の評価や農業用水水利権の変遷,さらには,琵琶湖内で調査された数多くの水質調査の相互比較例なども含まれており,これらの解析事例を参考に,今後複合的な流域環境の解析に本データベースが活用されることが期待される。
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