研究分担者 |
上見 憲弘 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (70280857)
和田 親宗 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (50281837)
井野 秀一 北海道大学, 電子科学研究所, 講師 (70250511)
脇坂 裕一 株式会社日本製鋼所札幌営業所, 所長(研究職)
大西 敬三 株式会社日本製鋼所, 取締役(研究職)
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研究概要 |
骨折後のギプス固定や身体の麻痺などにより,長期間,関節を動かさない状態が続くと,関節が動きにくくなってしまう.これは,関節組織の結合や筋の萎縮などによるもので,拘縮と呼ばれる.この拘縮の予防や改善には,持続的他動運動(Continuous Passive Motion : CPM)が有効である.このCPMとは,外からの力により患者の関節を長時間,連続して動かすリハビリテーション手法であり,疼痛の軽減などにも効果がある.そこでの北大感覚情報研究室と日本鉄鋼所で共同開発してきた水素吸蔵合金(MH)アクチュエータをリハビリのためのアクチュエータとしてCPMに応用する実用研究に着手した.本年度は,ヒトに装着可能なサイズの小型MHアクチュエータを開発し,その特性を調べ,その結果から肘関節リハビリのためのCPM機器にどこまで利用できるかを明確にした.以下に,その成果をまとめる.(日)試作した複動型の小型MHアクチュエータは、コンプライアンスを自由に変えることができ,重量は約250gと軽量であること,最大出力は約10kgfであること,アクチュエータ出力が重量に対して40倍であり出力重量比も十分に大きいものであった.応答特性を計測した結果,1サイクル200秒以上の極低速領域で良好な応答が得られ,CPM機器のようなリハビリ動作に非常に適しているアクチュエータであることを確認した.(火)小型MHアクチュエータを用いて肘関節用CPM機器を試作し,肘関節リハビリに適切なコンプライアンス値が得られるかどうかを調べた.その結果,試作機器のコンプライアンスは6.5〜15deg/Nmの範囲で調節可能であり,ヒトの肘関節と同程度のコンプライアンスを有していることがわかった.また,試作した機器の重量は約1.7kgで,これは従来のCPM機器の重量である約10kgに比べ極めて軽量であった.
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