研究分担者 |
木下 正生 日立造船(株), 技術研究所, 主管研究員
一色 浩 日立造船(株), 技術研究所, 主管研究員
寺田 幸博 日立造船(株), 技術研究所, 主管研究員
神崎 政之 日立造船情報システム(株), GPS研究グループ, 主任研究員
柿本 英司 日立造船(株), 技術研究所, 研究員
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研究概要 |
昨年度の平成13年1月23日に大船渡市沖に投入したGPS津波計を用いて長期実験を行った.本実験では,1年間という長期の観測を行い,その間ブイと搭載した計測機器の稼動状況を調査し,長期観測に耐えうるかどうかについて検討を行った.また,取得記録を解析して,海面変動を精密に計測する手法を開発した.観測当初各種の初期トラブルに見舞われたものの、時間が経過するにつれ次第に安定した運用が可能となった.その後も順調に稼動している、得られた解析結果は専用の電話回線を通じて大船渡市役所と大船渡市消防署でリアルタイムモニタされているほか,Webを通じて約30分遅れで世界中に公開されている.観測を実施していた6月23日(現地時間)にはペルー沖でM8クラスの地震が発生し,太平洋を横断した津波が日本時間6月25日早朝三陸沿岸に到達した.振幅は10cm程度と小さく津波注意報等も発令はされなかったが,本津波計のデータに移動平均操作を行うことでこの津波を明瞭に捕らえることができた.津波計近傍に置かれた検潮記録や長波近似を用いたシミュレーション計算などともよく似た波形が得られており,ブイが海面によく追随して津波を正確に記録していることが明らかとなった.また,約1年の観測期間後,潜水調査を行ってブイ周辺の損傷を調査したが、ブイや係留部に昆布などの付着物があったほかは特に損傷はなく,また部位の動揺で摩擦を生じる部位も特に大きな磨耗は検出されず,長期の運用が可能であることが判明した.一方,今後の課題として,より沖合いに展開する場合の長距離リバースRTKについては精度などの面で解決すべき検討課題が残された.
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