研究課題
本研究は、電磁波シールド、撥水、抗菌など、3つの機能を有する次世代型建材の開発を目的にしている。まず初年度の研究においては、火山ガラス質白土を焼成処理によって中空発泡球体化したバルーン化白土を主材料に、各種形態の炭素繊維を混入して電磁波シールド機能、塩基性塩化銅粉末を添加して抗菌機能を発現し、またフッ素化カーボン添加樹脂を溶射皮膜に塗布することによって撥水機能を発現した実用レベルの材料開発を行った。12年度の研究においては、アルミニウム製チューブにフッ素化カーボンと塩基性塩化銅の各粉末を充填した複合ワイヤを用いる溶射によって、3つの機能を有する複合皮膜を作製する方法について検討した。本年度の研究で得られた成果を要約して次に示す。(1)フッ素化カーボンと塩基性塩化銅の粉末を皮膜中に分散・固定する方法として、複合ワイヤを用いる溶射が有効であることを明らかにした。(2)複合ワイヤで作製した溶射皮膜は、50〜800MHzの周波数帯域で120dB以上の電磁波シールド機能、水滴法で145°以上の撥水機能を有し、しかも同時に良好な抗菌効果を示すことが明らかになった。(3)得られた複合皮膜は、紫外線照射による促進暴露試験の結果から良好な耐候性を示すことが明らかとなった。現在、各種実環境下での評価試験を継続中である。
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