研究課題
地域連携推進研究費
各種機械・構造物は今日、ますます厳しい環境下で使用されるようになった。また電子機器類の爆発的な普及に伴い、かつて予期しなかった新たな障害が発生するようになり、これら環境に対応可能な材料への関心が高まっている。本研究は、電磁波シールド、撥水、防かび・抗菌機能を有し、しかも耐久性に優れた材料開発を目的にしている。本研究ではまず、酸化珪素を主成分とする火山性白土を発泡球体化加熱処理したバルーン化白土に種々の形態の炭素繊維および塩基性塩化銅粉末を複合化したセメント系ボードを作製し、電磁波シールド性並びに防かび・抗菌性との関係を明らかにした。次に、材料開発の世界的潮流がバルク材からコーティング材へと移行しつつある現状から、コーティング技術の1つである溶射法による機能皮膜創製への応用を検討した。すなわち、金属製チューブにフッ化ピッチおよび塩基性塩化銅粉末を充填したワイヤを用いて作製した溶射皮膜について、電磁波シールド性、撥水性、防かび・抗菌性並びに耐久性を明らかにした。さらに廃乾電池の焙焼粉末で作製した溶射皮膜には、優れた光・熱吸収性と電磁波吸収性があることを明らかにした。本研究によって得られた成果は、技術的にも経済的にも実用化が期待でき、電力、運輸、建設、機械など、多くの業界から注目を集めている。特に各種機能を発現する溶射皮膜への関心は高く今後、実用化に必要な機能発現物質を充填するワイヤ製造法を確立し、大学発ベンチャーへと展開する計画である。
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