研究分担者 |
桑島 正道 徳島大学, 医学部, 助教授 (00205262)
高木 均 徳島大学, 工学研究科, 助教授 (20171423)
木内 陽介 徳島大学, 工学部, 教授 (80035807)
松尾 繁樹 徳島大学, 工学部, 助手 (20294720)
長篠 博文 徳島大学, 工学部, 助教授 (40035655)
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研究概要 |
個人の遺伝情報を小さな医療機関でも専門的な技術を必要とせずにその場で高精度に解析可能なDNAチツプシステムが開発できれば,正確な発症前診断による疾患の早期治療と予防が可能になり,国民の健康維持や疾病予防に資するところが極めて大である。本研究では正確な発症前診断を行うための遺伝子解析に適用可能な高精度マイクロ集積化DNAチツプ開発を目指している。DNAチツプは分析するDNAを増幅する部分(PCR)とハイブリダイゼーションを利用した解析部分から構成している。今年度は,マイクロPCR装置の開発,および新規DNA解析技術の開発を行った。 3センチ角の石英ガラス板上にマイクロ流路を加工することで,30回程度の温度サイクルが可能なマイクロPCR装置を作成した。また,流路を加工したガラス基板の逆側にITOフィルムを形成することで温度制御のためのマイクロヒーターとした。マイクロ流路中にピレンスルホン酸溶液を送液し,顕微蛍光測定を行い,マイクロチャンネル内の温度プロファイルを解析したところ,ITOフィルムがPCRチップのマイクロヒーターとして有効に機能することが明らかとなった。また,大腸菌由来のDNAをテンプレートとしてPCRを行ったところ,本研究で開発したPCRチツプは市販品と同程度のPCR増幅が可能であることを確認した。 金コロイドを用いた新規DNAハイブリダイゼーション解析技術の開発を行った。末端に金コロイドを修飾したプローブDNAを金薄膜上に固定化し,表面プラズモン共鳴を利用した分光測定を行ったところ,ハイブリダイゼーションに伴う大きなSPR信号が観測された。本手法の検出限界について険討したところ,pMレベルの検出が可能であることを確認した。また,一塩基置換(SNPs)検出に対して有効であることも確認し,本手法がDNA検出に対して有効であることが明らかとなった。 以上のように,本年度の研究においてマイクロPCR作成技術を確立するとともに,新規DNAハイブリダイゼーション検出技術の開発に成功した。
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