研究分担者 |
阪田 祐作 岡山大学, 工学部, 教授 (70032951)
高田 潤 岡山大学, 工学部, 教授 (60093259)
長江 正寛 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60304341)
岡 陽一郎 ユーサン精密株式会社, モールド製造課, 研究職
西田 典秀 岡山県工業技術センター, 材料技術部, 専門研究員
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研究概要 |
本研究では,耐食材料としては従来全く注目されていなかったMo窒化物皮膜を,ガス窒化処理によってMo-Ti合金表面に形成し,母体を優先窒化処理によって超微細TiN粒子を分散析出させた高強度で軽量なMo金属とした従来にない全く新しい耐食材料の創製を目指す.本年度は主に母材となる粒子分散強化型Mo-Ti合金の作製条件およびMo窒化物皮膜形成条件の最適化を行うと共に,窒化物皮膜の耐食性の検討も一部行なった.以下にその主な結果を示す. 1.Mo-Ti合金の優先窒化に関する研究では,窒化温度によりTiN粒子の析出形態が変化することを見い出した.すなわち,1300℃以下では母相Moの{100}面上に板状の整合粒子として析出するが,それより高温では母相との整合性を失う結果,棒状粒子として析出する. 2.Mo窒化物皮膜は表層部のγ-Mo2N,内層部のβ-Mo2Nの二層から成っており,内部に生成するβ相は{011}<011>型の極めて珍しい微細双晶で構成されていることを明らかにした. 3.Mo窒化物皮膜の耐食性について検討した結果,Mo窒化物皮膜そのものは沸騰硫酸溶液に対して極めて良好な耐食性を示すことを見出した.しかし,窒化後の試料冷却中に皮膜にクラックが入ると,クラックの先端部で母相のMo金属が選択的に腐食されることが分かった.この問題は窒化物皮膜の厚さを薄くすることで解決可能であり,窒素ガス中800℃,48h窒化した試料(窒化物皮膜の厚さ約3μm)では,従来の耐食材料であるTaに匹敵する完全耐食性(腐食速度が0.05mm/year以下)を示すことを明らかにした.
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