研究課題/領域番号 |
11793006
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加藤 敬一 愛媛大学, 工学部, 助教授 (10117088)
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研究分担者 |
立石 憲彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (90236555)
佐伯 俊昭 国立病院四国がんセンターガン遺伝子研究室, 室長
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 助手 (00263963)
川久保 明宏 ヤマキ株式会社, 研究開発室, 主任
鈴木 洋司 愛媛大学, 医学部, 助手 (20226567)
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キーワード | DDS / 癌治療 / 遺伝子導入 / 脂質ベシクル / リポソーム / 糖鎖 / 海藻レクチン / ハイブリドーマ |
研究概要 |
目的 癌細胞の糖鎖を認識する"ミサイル装置"としてのESA((Eucheuma serra agglutinin:トゲキリンサイ海藻由来のレクチン)を装着した、人工細胞(脂質ベシクル)を創製し、癌治療DDS(Drug Delivery System)に利用することを目的とした。まず、(1)ナノサイズのベシクルはDDSにおいては重要となる。そこで、血中で安定でかつマクロファージに貪食されない実用的ナノサイズベシクル(ステルスベシクル)を開発する。また(2)ESAの癌細胞への特異結合が癌細胞のアポトーシスを誘因することが昨年示唆されたので、これを更に詳しく検討する。さらに、(3)このESA固定化ベシクル内に抗癌剤を内包させ、癌細胞に標的させてその癌細胞の死滅効果をしらべる。また(4)担癌(大腸癌細胞)マウスに上記のベシクルを投入して癌細胞の収縮効果を検討する。(5)このベシクルを用いた遺伝子導入実験の可能性を探る。 結果 (1)一次乳化時に超音波撹拌を用いた二段階乳化法により、Span80を主成分とするハイブリッド型で、粒径が約40〜200nmのナノサイズベシクルの調製法の開発に成功した。このベシクルは、生理食塩水中や血清培地中で安定であり、血中での使用が可能となった。(2)またESAをベシクル膜に固定化するためのアンカーとして、新たにIsothiocyanic Acid Octadecyl Ester(IAOE)を合成して、ESAを効率良く固定化する事が出来た。(3)このESA固定化ベシクルが、他の癌細胞と比較して、Colo201(大腸癌細胞)に対して最も特異結合すること、およびESAが癌細胞に対してアポトーシスを誘引することを明らかにした。さらに(4)ESAおよびESA固定化ベシクルを担癌マウス(大腸癌細胞)に投与して癌細胞の収縮を検討した結果、約30%の収縮効果が得られ、ESAの制癌作用が観察され、今後の進展が期待できた。また(5)このベシクル内(ESA非固定化)に抗癌剤タキソテールを内包して:in vitroで実験を行った結果、有効な制癌効果を得た。さらに、(6)in vitroで、本ベシクルを用いたプラスミドの子宮癌細胞への遺伝子導入基礎実験でも、大きな遺伝子発現の結果を得た。
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