研究課題/領域番号 |
11793008
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
高田 十志和 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (40179445)
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研究分担者 |
山田 聿男 ダイソー株式会社, 総合開発部, 課長
木原 伸浩 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (30214852)
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キーワード | 金属ナトリウム / 単体硫黄 / ナトリウムポリスルフィド / 省エネルギータイヤ / シランカップリング剤 / 固体 固体反応 / 無水物 / 一電子移動 |
研究概要 |
本年度の目標は、省エネタイヤ用カップリング剤製造プロセスに於ける反応の詳細を検討すること、並びに無水ナトリウムポリスルフィドの合成法を確立することであったが、非常によい結果を得ることができた。特に、事業化を検討していた共同研究企業でのパイロット試験が完了し、本プラントの建設、そして稼働が始まった。本研究課題の最も重要な目標であった「事業化の基礎を築くこと」が達成された結果、現実に事業化に至ったわけであるが、地域産業の活性化に資することを目的としているこの「地域連携推進研究」の目標もほぼ達成されることが見えてきた。あとは、実際に販売が始まり、収益を得るまでに成長することであろう。 具体的な成果としては、反応のメカニズムを検討する目的で、反応時間の効果、濃度の効果、副生成物の構造、添加物(触媒)の効果、等について詳細に検討した結果、金属ナトリウムから硫黄への一電子移動が最初のプロセスであり、その後も基本的に生成する活性種への一電子移動によって、最終的にナトリウムと硫黄の比に見合った生成物に至ることがわかった。 金属ナトリウムをパラフィン中でディスパージョンとしたものと単体硫黄(S8)を、溶媒にジメトキシエタンを用いて70_iCで反応させることにより、ナトリウムポリスルフィドが得られ、そこにトリエトキシシリルプロピルクロリドを加えて室温で反応させることにより、目的とするシランカップリング剤が98%以上の収率で得られることがわかった。また、触媒としてナフタレンやアントラセンなどの多環芳香族炭化水素をこの系中に加えると、極めて反応速度が上昇し、室温でもかなりの速度で反応が進むこともわかった。このように、触媒を加えることで反応速度が上昇した理由は、完全な固体 固体反応を、芳香族炭化水素という溶媒可溶な触媒によって結果的に固体 液体反応に変換できたためと考えられる。
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