研究課題
本年度は、廃蛍光体の粒度分布、密度、界面動電現象などの基礎性状を明らかにするとともに、廃蛍光体中のHg除去試験、Hg除去した廃蛍光体及び模擬廃蛍光体を試料とし各種選別試験による白色蛍光体と希土類蛍光体の選別について検討した。また、廃蛍光管から回収された希土類元素のリサイクル用途の拡大および回収資源の高付加価値化を図るため、機能性材料(蛍光材料)の製造および高純度化等について検討した。主な成果は、以下のようである。1)廃蛍光体中のHgは600から800℃で空気中加熱し、蒸気として遊離した水銀を冷却することで金属として回収できる。2)ジグザグ型及びターボプレックス50ATP型風力選別機を用い選別実験をおこなった。ジグザグ型に比べ、微粒子用のターボプレックス50ATP型の選別性は良好で、風量1m^3/min、分級ロータ回転速度7400rpmで、希土類蛍光体品位33.6%、歩留り28.1%の結果を得た。3)湿式サイクロンによる分級実験をVortex Finder Cap及びSpigot Cap径を変化し行った。ニュートン効率は、最大でも0.15であり、サイクロンでの選別は困難であった。4)廃蛍光体模擬試料を試料とし、陰イオン性捕収剤であるドデシル硫酸ナトリウムを用い浮選実験を行った。その結果、浮選pHを9.7に保持した場合、蛍光体品位26.6%、歩留り46.1%、ニュートン効率0.61の結果が得られた。5)イミノジ酢酸型のキレート樹脂を用いてYの高純度化を行った結果、溶離液pH1.7、流速SV0.3/h(R=54ml)の条件でYはEuなどの不純物元素から分離でき、純度99.9%以上となることが分かった。6)希土類蛍光体の再合成法について検討した結果、希硫酸浸出、不純物除去、共沈、乾燥および焼成の工程により市販品とほぼ同等の化学組成、結晶形態、粒度特性および発光特性を有する赤色蛍光体(Y_20_3:Eu^<3+>)を合成することができた。
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