研究分担者 |
木下 睦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70261592)
金 放鳴 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90323039)
田路 和幸 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10175474)
東島 壽夫 (株)新潟鐡工所, 環境プラント技術部, 次長(研究職)
佐藤 尚洋 宮城県産業技術総合センター, 上席主任研究員
守谷 武彦 東北電力(株), 研究開発センター, 研究員
HISAO Higasijima Niigata Engineering Co., Ltd., Deputy manager
NAOHIRO Sato Miyagi Profectural Govemment, Indus. Techno. Institute, Asst. Chief, Researcher
TAKEHIKO Moliya Tohoku Eletric Power Co., Inc. Research and Develop. Center., Researcher
|
研究概要 |
本研究実施項目ごとに得られた結果の概要は以下のようである。 ◎バッチ式反応容器を用いた実験I-酢酸を大量に生成させるための基礎研究 反応温度は水の亜臨界域の300℃から超臨界域の400℃の範囲で,酢酸生成に及ぼす反応条件を調べた。その結果,反応温度300-330℃,反応時間1-2分,酸素供給率50-110の範囲で籾殻・稲藁の湿式酸化により酢酸を大量に生成することができた。その中で,最も高酢酸収率が得られる条件は,反応温度300℃,反応時間1分,酸素供給率70%であった。 ◎バッチ式反応容器を用いた実験II-酢酸カルシウム/マグネシウム生成の基礎研究 籾殻の湿式酸化により生成した酢酸溶液中に,石灰岩やホタテ貝殻・カキ殻等の添加により,反応温度60℃,反応時間10分の条件下で,ほぼ100%の酢酸から酢酸カルシウム/マグネシウムへの転換率が得られた。 ◎バッチ式反応容器を用いた実験III-酢酸収率を向上させるための基礎研究 セルロース,ヘミセルロースを加水分解して生成する単糖類を酸化するとジカルボン酸を生成するが、グルコース,ペントースを脱水分解して生成する5-HMF,フルフラールは酸化によりモノカルボン酸を生成する。この方法により得られた酢酸収率は従来の直接酸化法で得られた酢酸収率の約2倍であった。 ◎連続装置の実験 連続反応装置については,その組み立て,運転操作方法の修得,試運転に予想外の時間を要し,本年1月に長時間の連続安定運転ができるようになったところである。 連続反応装置の運転条件の影響に関する検討は,予想外のトラブルによる装置の立ち上げの遅れにより,進んでいない。反応容器の底,中,上部温度の制御が可能となり,底部入り口温度260℃,反応温度310,330℃,酸素供給率70%,反応時間3分の基準となる条件下での酢酸収率は炭素基準で約11%であり,従来のバッチ式反応容器による基礎研究とほぼ同様の結果が得られている。 試料の調整,製品中の不純物の評価および製品分析については,籾殻はスラリーとして定量プンプにより送入するため,80mesh以下であることが必要である。このため,1次粉砕と2次粉砕を行い,100mesh以下に調整した。酢酸以外の有機生成物(不純物)には,蟻酸と蓚酸が多い。蟻酸カルシウムは凍結防止剤として利用可能であるが,蓚酸カルシウムは利用できない。蓚酸は最小のジカルボン酸であり,容易に酸化分解するのに残存量が多いということはジカルボン酸の生成量が多いことを示しており,これが酢酸の収率を低くしている理由と考えられる。
|