研究課題/領域番号 |
11793015
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
桜井 弘 京都薬科大学, 代謝分析学, 教授 (30065916)
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研究分担者 |
小野 誠 長瀬産業(株), ビューティーケア, 商品部部長
安井 裕之 京都薬科大学, 代謝分析学, 助手 (20278443)
田和 理市 京都薬科大学, 代謝分析学, 助教授 (80142587)
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キーワード | 太陽紫外光 / 活性酸素種 / フリーラジカル / 皮膚傷害 / 化学発光学 / 微弱光測定 / 抗酸化剤 / ラジカルスカベンジャー |
研究概要 |
近年、オゾンホールの拡大により、地球に注がれる強い太陽紫外光により皮膚障害や皮膚ガンの発生が懸念されている。本研究は紫外光による皮膚障害の機構を明らかにしつつそれを抑制する化合物の探索を目的とした。皮膚障害発症の分子機構として、紫外線照射により皮膚組織で生成される活性酸素種が注目されているにもかかわらず、これまで、生きた動物の皮膚上に紫外線にもとく活性酸素・フリーラジカルが検出された例は全くなかった。そこで、この命題に向かって研究したところ、昨年度に初めて、化学発光プローブと高感度カメラを備えた微弱光測定装置を用いて、生きている動物個体の皮膚中に紫外線照射によって発生する活性酸素種を検出することに成功した。そこで今年度は、皮膚における活性酸素生成と皮膚老化との関係を明らかにするために、紫外線を照射したヘアレスラットの皮膚で生成される活性酸素の年令依存的な変動について検討した。 生きているヘアレスラット背部の正常皮膚からの自発的な活性酸素生成にもとづく発光量は、8週令から59週令にわたり週令依存的に減少した。これは加齢に伴う基礎代謝の低下を反映している。次に、ヘアレスラットの背部皮膚に紫外線(20mW/cm^2)を1、3および5分間照射して発生する活性酸素種を検出したところ、照射時間に依存した強い発光が各週令のラットで観測された。紫外線により誘導される発光量の上昇率は加齢に伴って増大したため、紫外線ストレスに対する皮膚組織の適応能は加齢により減弱していくことが分かった。活性酸素生成による細胞障害の蓄積が老化につながると考えた。 本研究の成果は、日本薬学会(2000年3月、岐阜)のハイライトの一つとして取り上げられ、さらに読売新聞紙上にもカラーで掲載された(2000年4月27日)。
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