研究課題/領域番号 |
11793017
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80154540)
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研究分担者 |
栗原 一嘉 (財)神奈川科学技術アカデミー, 常勤研究員 (20270704)
佐々木 真一 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (50317294)
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キーワード | SPRセンサー / オプトード / 化学エッチング / 近接場光学顕微鏡 / SNOM / 超微小化 / 光ファイバープローブ / 表面プラズモン共鳴センサー |
研究概要 |
本年度の研究の目的は、動脈硬化性疾患の診断を行うための主要な検査項目であるリポプロテイン(a)[Lp(a)]に着目し、この成分をベッドサイドで測定するためのPOCT用センサーの開発と実用化を検討した。そのセンシングには免疫反応による誘電率の変化をデバイス基盤金薄膜表面の表面プラズモン共鳴(SPR)による変化量として測定し、目的物質濃度に換算するSPR法を利用した。 このような新規SPRイムノセンサーの開発には、SPRセンサーのセンシングを司るセンサーチップ表面上を修飾することによって、センサーとしての感度向上を考慮した設計を行った。 実験ではまず、顕微鏡用のガラスプレートを基盤とし、金をスパッタリングしてプレート上に薄膜を形成させたセンサーチップを作製した。この場合、金膜厚によってセンサーシグナルがどのように変化するのかを調べ、最適化を行った。昨年度までの実験で、エチレングリコール鎖をセンサーチップ上に導入することにより、非特異的な吸着が抑えられることが分かった。本実験は、センサーチップ上に、目的とする抗体の固定化に必要なカルボキシル基を大量に持つ粒子を導入することによって、抗体の固定化量を増加させることを試みた。 次に結合した目的タンパク質が少量であっても、大きな応答シグナルが得られるようにシグナルの増幅系を考慮した。その場合、他の免疫測定法で利用されているサンドイッチ(間接)法を、SPRセンサーでのシグナル増幅系に応用することを検討した。この方法では抗体の固定化量はわずかに増加したが、同時に非特異的な吸着が増加し、SPRセンサーとしての性能は向上しなかった。 シグナルの増幅は、エポキシ基で覆われたSG粒子で標識した抗体を二次抗体として流した場合が最も有効であり、かなりのシグナル増幅が可能であることが確認された。しかし、この方法でもわずかながら非特異的吸着性が残っており、今後この改善が課題である。
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