研究概要 |
1,ジベンゾフラン(DF)で事前に3日程度培養したTerrabacter sp.DBF63株の生育菌体を用いて2,8-dichloro-DFモデル汚染土の浄化実験を行った結果、1ppmの2,8-dichloro-DFが1日の反応で86%、3日間で90%以上分解した。現在、さらに効率のよい分解を行うため、ダイオキシン同族体のmixtureによるモデル汚染土を作製し、異なる同族体の存在がダイオキシン分解に及ぼす影響を検討している。 2,汚染土壌中にダイオキシン・カルバゾール(CAR)分解菌Pseudomonas sp.CA10株を添加した場合の新規モニタリング法を開発した。具体的には、ABI7700 sequence detectorを用いたリアルタイム定量的PCR法に加え、トランスポゾンにより内部標準DNAを組込んだ細胞を構築し、これを土壌中に一定量加えた後にDNAを抽出する手法を組合わせた。本法の開発に成功したことにより、ダイオキシン分解菌及び遺伝子の迅速かつ正確な計測が可能となった。 3,CA10株や他のダイオキシン分解系遺伝子ホモログを有する様々な細菌種を供与菌とし、ダイオキシン分解能をもたないPseudomonas sp.DS1株を受容菌とした接合実験を行った。その結果、P.stutzeri OM1株及びAgrobacterium sp.J3株などを供与菌とした場合に、DS1株のみが生育可能な薬剤を添加したCAR重層プレートにクリアゾーンの形成が確認され、遺伝子転移が起こったと推測される株が得られた。 4,昨年度得られたダイオキシン分解系メタ開裂酵素遺伝子を形質転換した植物体のRT-PCR解析、ウエスタン解析により、当該遺伝子が転写され、予想される大きさのタンパク質として発現していることが示された。現在、形質転換植物体が有するメタ開裂活性の測定を行っている。
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