研究課題/領域番号 |
11794006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 素直 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011982)
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研究分担者 |
庄子 習一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00171017)
久本 秀明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00286642)
北森 武彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60214821)
渡慶次 学 (財)神奈川科学技術アカデミー, インテグレーテッドケミストリープロジェクト, 研究員 (60311437)
木村 博子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00053299)
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キーワード | マイクロチップ / イムノアッセイ / 単一細胞分析 / 熱レンズ顕微鏡 / 集積化学実験室 / μTAS |
研究概要 |
ガラスチップにミクロ生化学分析実験システムを集積化するために必要な要素技術の開発を行った。本年度は、マイクロチャネル内で安定多層流と界面の形成方法の確立、化学反応を伴った溶媒抽出とそれを利用した分析システムの構築、レーザー光を用いた非接触型の局所温度制御システムを開発した。 溶媒抽出については、ガラスマイクロチップ内に作製した幅・深さ各100ミクロン程度のマイクロチャネル内に、複数種類の溶液を導入して安定した界面を形成させるために最適な送液方法およびチャネル加工方法を確立した。このシステムを応用することにより、複数の化学反応をチップ内で行いながら溶媒抽出できる系を開発し、これによって錯形成反応、溶媒抽出、洗浄など複雑な化学プロセスを要する湿式分析システムを一枚のチップに集積することに成功した。任意の化学プロセスの集積化に対する方法論を開発できた。 また重要な化学反応制御操作である温度制御については、レーザー光を用いた光熱変換効果を利用することにより、チャネル内任意極微小領域の高速温度制御システムを開発し、サブミリ秒での30度以上の温度変化を達成し、酵素反応や化学反応制御に利用できる見通しを得た。 一方集積化生化学分析システムの実用化をめざし、昨年度より開発してきたマイクロチップイムノアッセイシステムの構築と実試料への応用を試みた。その結果、従来の方法では2日以上要していた大腸癌の血清診断のためのCEAの分析をわずか30分程度で行うことに成功し、患者実血清を用いた分析によって従来法と高い相関を得ることができ、将来の実用化が充分に期待できるとの結論を得た。 さらにマイクロチップの微小空間のメリットを生かして、チップ内で細胞培養する技術を開発し、単一細胞内の物質分布の変化や、細胞間でやりとりされる化学物質の定量にも成功し、新たな細胞実験のためのツールとしての可能性を示したものと結論できる。
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