研究課題/領域番号 |
11794007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 清 九州大学, 農学部, 教授 (80038322)
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研究分担者 |
上園 慶子 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (00168618)
川崎 晃一 九州大学, 健康科学センター, 教授 (00038704)
松井 利郎 九州大学, 農学部, 助手 (20238942)
寺原 典彦 南九州大学, 園芸学部, 教授 (60155471)
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キーワード | 機能性食品 / 生活習慣病 / 高血圧 / 糖尿病 |
研究概要 |
1、小麦胚芽由来の降圧ペプチドの生体内での作用機作 小麦胚芽蛋白質から新たに同定した主要ACE阻害ペプチドlle-Val-Tyr(IVY)の吸収後の血中内での代謝挙動をラット及びヒト血しょうを用いて評価した。その結果、IVYは吸収後速やかにアミノペプチダーゼの作用により分解を受ける(半減期;1.7時間)が、新たにACE阻害物質VYが派生するため、長時間にわたる複次的降圧作用が期待されることが判明した。SHRに対する単回投与試験(5mgIVY/kg)の結果、19.2mmHgの降圧効果が認められた。本分解物のddyマウスに対する急性毒性は100mg/kg以上であった。 2、ソバの降圧機能性評価 ソバ摂取後の消化過程を想定して、各消化段階でのACE阻害性発現挙動を検討した。その結果、摂取前のホモジネートではACE阻害活性はほとんど認められなかった(0.4mg-protein/ml)のに対し、1.0wt%ペプシン処理(4時間)(0.033mg-protein/ml)、次いで1wt%トリプシン・キモトリプシン処理(4時間)(0.065mg-protein/ml)することによって顕著に活性が増大した。このことは、ソバ蛋白質由来のペプチド性ACE阻害物質が生体内消化過程で新たに生成することを示しており、ソバ摂取による血圧改善効果が大いに期待される。現在、最終消化物からACE阻害ペプチドの単離と同定を行っている。 3、アントシアンニン系色素のグルコース吸収阻害作用 糖尿病予防を目的として、アントシアンニンの新しい機能、すなわち腸管でのグルコース吸収抑制(α-グルコシダーゼ;AGH阻害)効果を検討し、宮崎野菜(ムラサキ甘藷)から抽出したアントシアニン色素に強いAGH阻害性(IC50;193μM)が認められた。なお、本色素抽出物のAGH阻害性(IC50;0.26mg/ml)は緑茶抽出物(IC50;0.22mg/ml)に匹敵するものであった。現在、アシル化部位と活性発現の関連性を検討中である。
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