研究分担者 |
上園 慶子 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (00168618)
寺原 典彦 南九州大学, 園芸学部, 教授 (60155471)
川崎 晃一 九州産業大学, 健康・スポーツ科学センター, 教授 (00038704)
松井 利郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (20238942)
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研究概要 |
1、アントシアニン系色素によるグルコース吸収阻害作用 糖尿病予防を目的として、アントシアニンの腸管でのグルコース吸収抑制(α-グルコシダーゼ;AGH阻害)効果を明らかにした。その結果、アシル化アントシアニンはAGH(マルターゼ)に対して極めて高い阻害活性を有していることが判明した。さらに、SD系ラットに対するYGM粗抽出物の単回投与試験を実施した結果、明らかなBGLの抑制効果が認められ、その効果は60分後まで持続した。また、YGMは腸管膜におけるグルコースの能動輸送を阻害するものではないことが判明し、YGMによる血糖上昇抑制効果の発現はマルターゼ阻害によるグルコース生成の抑制に基づいていることが明らかとなった。 2、小麦胚芽由来の降圧ペプチドの生体内での作用機作 小麦胚芽蛋白質から新たに同定した主要ACE阻害ペプチドIle-Val-Tyr(IVY)に関する知見を明らかにした。すなわち、胚芽分解物、主要ACE阻害ペプチドであるIVYともに、ddyマウスに対して急性毒性作用は認められないこと、またSHRに対する単回投与試験において有意でかつ長期持続的な血圧低下作用を示すことを明らかにした。本分解物の機能特性として、消化管プロテアーゼに対する耐性があること、またIVYはVYの産生によって24時間後においても降圧物質が存在する可能性があること、血管平滑筋細胞の増殖を有意に抑制する作用を有していることが判明し、新たな機能性食品成分としての展開が示唆された。 3、ソバの降圧機能性評価 ソバ摂取後の消化過程を想定して作製した最終消化物(IC50=0.065 mg-protein/ml)中には11種類(Phe-Tyr, Val-Lys, Tyr-Val, Leu-Phe, Gln-Lys-Lys, Tyr-Gln-Lys, Phe-Tyr-Leu)のACE阻害ペプチド(内7種類はこれまでに報告例のない新規ペプチド)を単離・同定し、またSHRの血圧を有意に抑制するin vivo作用を有していることが判明した。ルチンの影響は認められなかった。従って、血圧調節に関してソバ摂取の有効性が明示され、その作用はソバ蛋白質の消化過程において新たに発現することが判明した。
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