地域発展基盤の整備および地球環境の保全に役立つ焼酎粕ペレット飼料の製造技術開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11794011
• 研究機関: 宮崎大学
• 研究代表者: 小野寺 良次 宮崎大学, 農学部, 教授 (60040862)
• 研究分担者: 堀井 洋一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (80173623) ; 六車 三治男 宮崎大学, 農学部, 教授 (50091369) ; 山内 清 宮崎大学, 農学部, 教授 (90040865) ; 藤代 剛 宮崎大学, 農学部, 助手 (00295198) ; 長谷川 信美 宮崎大学, 農学部, 助教授 (50281217)
• キーワード: 焼酎粕ペレット飼料 / 焼酎粕濃縮液 / 黒毛和種肉用牛 / F1肉用牛 / 肉用牛飼養試験 / 肉用牛フィールド試験 / 環境保全 / アルコール蒸留廃液処理

研究概要

本研究は、焼酎粕を飼料化することにより、その海洋投棄や燃焼処理を無用にし、地域産業である畜産業の持続的発展に寄与することを最終目標とし、焼酎粕ペレット飼料等による牛の飼養試験やフィールド試験を行い、実用化に資することを目的としている。平成12年度は、平成11年度の技術をベースに、焼酎粕(濃縮液+乾燥脱水ケーキ)を主原料とし、フスマを副原料とするペレット飼料(主副両原料混合割合:乾物比で1:2)を平成13年度まで使えるように大量に製造した。続いて、製造した焼酎粕ペレット飼料の成分分析を行い、牛による飼養試験およびフィールド試験用の配合飼料を製造した。動物試験の結果は、以下のとおり:(1)平成11年度から開始している黒毛和種(試験区・対照区各5頭、生後10カ月前後)による飼養試験(平成12年2月〜平成13年8月、18カ月間)を継続した。これまでのところ、焼酎粕ペレット飼料の生育促進効果が見られている。(2)肉用牛(F1、生後8カ月齢)によるTMR方式のフィールド試験(平成12年2月〜平成13年10月)を継続し、良好な結果が得られている。(3)焼酎粕濃縮液配合TMRによる肉用牛(F1、生後4カ月齢)のフィールド試験(西ノ原牧場)は、平成12年7月(5ヶ月間)に修了し、成長に伴い良好な傾向を示す結果になった。(4)搾乳牛による試験は、委託業者の慎重さで、まだ実施できないでいる。ただし、平成13年度は確実に実施できる見通しである。(5)ヌレ子(生後2〜16日齢)によるフィールド試験の結果では、焼酎粕が下痢をくいとめる効果については、はっきりしなかったが、焼酎粕ペレット飼料給与区がその後の成長がよい傾向を示した。この研究の2回目は、人工乳に濃縮液と乾燥脱水ケーキを混合する方式で現在進行中で、結果は類似である。(6)このほか、焼酎粕の機能性物質の含量が前年度製造分よりも多いことを確認した。

研究成果

• [文献書誌] 小野寺良次,長谷川信美 ほか10: "焼酎粕ペレット飼料が肉用牛の成長および肉質に及ぼす影響(予備試験)"宮崎大学農学部研究報告. 47. 1-11 (2000)
• [文献書誌] 小野寺良次: "エクストルーダーによる焼酎粕ペレット飼料の製造ならびに肉用牛による飼養試験"平成10年度食肉に関する助成研究調査成果報告書. 17. 234-237 (1999)
• [文献書誌] 小野寺良次,稲澤昭 ほか14: "焼酎粕がルーメン微生物による必須アミノ酸合成量に及ぼす影響."宮崎大学農学部研究報告. 45. 87-92 (1998)
• [文献書誌] 小野寺良次,稲澤昭 ほか12: "エクストルーダーによる実用的焼酎粕ペレット飼料(牛用)の製造技術と飼料成分および嗜好性"宮崎大学農学部研究報告. 45. 77-85 (1998)
• [文献書誌] 小野寺良次,稲澤昭 ほか8: "エクストルーダーによる焼酎粕ペレット飼料(牛用)の製造に関する研究"宮崎大学農学部研究報告. 44. 45-53 (1997)
• [文献書誌] 川村修,小野寺良次 ほか9: "サイレージ調製による焼酎粕の飼料的利用-そば焼酎粕と稲わらを材料としたサイレージについて-"宮崎大学農学部研究報告. 44. 93-97 (1997)
• [文献書誌] R.J.Wallace,R.Onodera ほか1: "The Rumen Microbial Ecosystem (2nd Edition)"Blacdie Academic & Professional, London. 719 (1997)
• [文献書誌] R.Onodera,M.R.Amin ほか1: "Rumen Microbes and Digestive Physiology in Ruminants"Japan Science Society Press, Tokyo and S.Karger, Basel. 259 (1997)