研究課題/領域番号 |
11794018
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
佐藤 建三 鳥取大学, 医学部, 教授 (40113196)
|
研究分担者 |
綾木 義和 米子工業高等専門学校, 物質工学, 教授 (90032002)
守山 正胤 鳥取大学, 医学部, 助教授 (90239707)
箸本 英吉 鳥取大学, 医学部, 教授 (20116239)
柏木 幸治 株式会社 ダイマツ, 研究開発部, 技術員
野口 誠 鳥取産業技術センター, 応用技術部, 研究員
|
キーワード | 魚残滓 / コラーゲン / 肝機能 / 生理活性物質 / 転写因子 / レポーター遺伝子 / スクリーニングシステム |
研究概要 |
日本一の水揚げ量を誇る境港市の水産業からは魚残滓や骨など大量の廃棄物が生じるが、これらから蛋白資源としてのコラーゲンなど有機成分は抽出されることなく廃棄されている。また、これまで研究代表者はコラーゲンを除去した肝臓細胞が多くの肝機能を失っていくのに対して、肝臓の分化維持にかかわる肝特異的転写因子HNF-3γ遺伝子をこの細胞に導入すると、肝機能が維持されるばかりか、四塩化炭素など肝臓毒に対する抵抗性が増加することを発見し、この遺伝子発現の肝機能維持における重要な役割を明かにした。本研究は、地域水産加工業より生じる魚介類廃棄物より抽出物を作製し、HNF-3γ遺伝子活性化を誘導する生理活性蛋白の検索を行い、医薬品としての基本的な特性を明らかにすることを目的としている。本研究は肝機能障害を改善するという医学上の急務と地域産業からの有機物資源の活用という視点とを結びつけて取り組むものである。 本年度、佐藤はHNF3-γ遺伝子の肝機能における役割を、遺伝子導入動物で解析した。さらに、佐藤と野口はスクリーニング・システムとして、HNF3-γ遺伝子の発現制御領域を持つレポーター遺伝子を組換えDNA技術により作製し、肝癌細胞株や繊維芽細胞株に遺伝子導入を行い、細胞株を樹立した。これらの細胞の細胞外マトリックスなど活性物質に対する応答性を確認している。柏木、および綾木は魚皮残滓からのコラーゲン蛋白の抽出法を検討し、前処理工程にブレンダーによる粉砕過程が収率を向上させることを見出した。また、魚コラーゲンが従来の動物由来コラーゲンとは異なる物性を持つことが明らかとなり、その詳細を解析している。箸本は魚皮残滓に含まれる油脂成分の生化学的役割の解明のため細胞内リン酸化シグナルとの関連を解析した。守山は、心筋に特異的なARPP遺伝子発現がコラーゲンにどの様に応答するかを解析している。
|