研究課題/領域番号 |
11794019
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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研究分担者 |
及川 伸二 三重大学, 医学部, 助手 (10277006)
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
中島 邦夫 三重大学, 医学部, 教授 (40022800)
大熊 和行 三重県科学技術振興センター, 保健環境研究所, 主幹研究員兼衛生科学グルブリダ
平工 雄介 三重大学, 医学部, 助手 (30324510)
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キーワード | 環境化学物質 / ヒト遺伝子損傷性 / 精子毒性 / トルエン / エストロゲン活性 / ピレスロイド系農薬 / ニトロピレン / 残留農薬一斉微量分析 |
研究概要 |
環境化学物質の内分泌撹乱作用が精子減少などの男性生殖毒性の原因として注目されている。生殖毒性は内分泌撹乱作用だけによるのではなく遺伝子損傷作用が相加的または相乗的に関与している可能性がある。 トルエンは中枢性神経内分泌調節系を介した生殖機能への影響が重要視されているが、我々は遺伝子を損傷して精子毒性をもたらす可能性があることを指摘した。そこで、雄性ラットにトルエンを暴露したところ、精巣上体精子数は減少し、精巣のCYP17αのmRNA量低下、血中テストステロン量の減少が見られた。しかし、視床下部におけるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)および同受容体のmRNA量は低下がみられず、トルエンが精巣および精巣上体に直接作用することによって精子数に影響を及ぼしていることが示唆された。 内分泌撹乱化学物質と疑われている化学物質(67物質群)の約6割を農薬が占めており、三重県下での河川水などの水環境、農作物中残留農薬の調査するため、GC/MSおよびICP/MSを用いた残留農薬一斉微量分析法を開発した。現在、この方法を用いて汚染実態調査を実施している。また、エストロゲン依存増殖性乳腺腫瘍細胞(MCF-7)を用いて、ピレスロイド系農薬によるMCF-7細胞への増殖作用を検村したところ、デルタメトリン、トラロメトリン、シフルトリン等のいくつかの農薬でエストラジオールと同程度の増殖活性が検出された。 環境化学物質の遺伝子損傷性については、ジーゼルエンジンの排気ガス等からの大気汚染物質であるニトロピレン類について検討した。1-ニトロピレンにはDNA損傷性はなかったが、その代謝物である1-ニトロソピレンは生体内還元物質や金属イオンの存在下で酸化的DNA損傷をきたすことを見い出した(Biochem.Biophys.Res.Commun.280,48-52,2001)。
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