研究課題/領域番号 |
11794022
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 純 名古屋大学, 医学部, 教授 (40158449)
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研究分担者 |
古田 雄彦 愛知県医師会, 研究職
栗田 高三 愛知県医師会, 研究職
山内 一信 名古屋大学, 医学部, 教授 (90126912)
水野 正明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (70283439)
宮地 茂 名古屋大学, 医学部, 助教授 (00293697)
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キーワード | 脳卒中 / 救急医療 / 地域医療ネットワーク / 画像転送 / 症例登録システム |
研究概要 |
本研究では名古屋大学脳神経外科学教室が中心となり、名古屋大学医療情報部、中央放射線部、愛知県医師会と脳卒中専門病院及び一・二次救急病院と相互に結びつける地域医療情報ネットワークを構築した。これを基盤とした静止画、動画転送による画像ネットワークとWeb baseの症例登録システムを含む、全国で初めての脳卒中救急患者医療支援システムを作り上げた。名古屋市及び中核都市からパイロット的に11の当該システムモデルをたちあげ、実際に運用した結果、当該期間に各救急センター病院または指定病院から1,841名の脳卒中患者の詳細な医療情報がデータベースとして登録された。特に重症脳卒中患者の約8割が登録され、治療方針、治療結果などのデータから、適切な治療、管理についての臨床的検討を行えた。また、愛知県救急情報センターとの連携により、各医療機関への搬送状況についての情報交換が可能となった。次に、静止画像転送については156例のアクセスがあり、このうち3例について脳卒中専門医へのコンサルテーションがなされた。また、14例においてはリアルタイム(384Kbpsの回線速度)の動画転送により、脳血管撮影及び脳血管内治療に対する専門医による指導が行われた。特に、クモ膜下出血急性期症例及び脳塞栓症例に対する超急性期治療について、画像転送による遠隔治療支援は大変有用であり、治療の成功と患者の予後改善に大きく貢献した。本システムにより、急性期脳卒中に対する治療戦略について、従来の電話などによる音声情報のみの情報交換から、画像を用いたより正確な情報伝達とテレコンサルテーションが可能となり、救急医療の質的向上に成功した。今後、動画転送のモバイル化、参加施設の拡大、専門医への情報提供の簡便化、他の救急ネットワークとの連携、脳卒中救急医療の教育活動の活用など、改良を加えつつ展開させていくことで、脳卒中救急医療の発展にさらに貢献できると考えられる。
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