研究概要 |
歩行運動測定と骨形態計測をリンクした解析システムに関して,前年度のX線透過材料のアクリル樹脂を用いた膝装具型6自由度運動測定システムの開発により,正常ボランティアを対象とした運動計測を実施した.シネラジオグラフィーにおける2次元的解析との比較において,システムの妥当性が確認され,MRIデータとのリンクにより3次元的に操作性に優れたスパーインポーズを検討している. 治療・矯正的瞬間回転軸移動軌道の検討に関して,小型油圧シリンダーと電磁サーボモータを組み合わせた負荷容量の大きい実機システムを作成し,各姿勢における外力に対する脛骨大腿骨間の相対変位を実測した.金属部材が多いため,CTやMRIによる軟部組織の動態は計測不能であるが,実機システムによる外力と皮膚表面における接触圧から,MRI撮影条件において静的にシミュレーションすることにより,対象組織の動態を推測することを計画している. インテリジェント膝装具の実機に関しては,外力に対する脛骨大腿骨間の相対変位が計測されたことにより,コンパクトなリニアモータの設計・試作を継続している.システム全体の重量の低減を視野に,筋金構造の簡素化,エンジニアリングプラスチックの応用等を検討している. 基礎研究として,機械的力学刺激に対する定量的な骨組織のリモデリング挙動の観察を行い,過負荷に対する棘状骨の形成を確認した.骨の矯正的治療における過負荷の予防に有用な情報となることが予想される.
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