研究概要 |
本研究開発対象のインテリジェント装具は,パラレルに配した6個のセンサーによる5自由度(膝内外側移動を除く)の運動計測と4自由度(屈曲と内外側移動を除く)のアクチュエーションによりメカトロ化されている.試作器において,運動計測はバイオメカニクスの観点から必要とされる精度を十分にクリアーしているが,アクチュエーションが十分な出力を得るためには,現状の技術や製品において重量・体積共に計画より大型のものとなった. 生体に対する効果を検証するために,静的な条件における外力が頸骨-大腿骨間の相対関係に及ぼす影響を,オープンMRIを用いて確認した.荷重に依存して瞬間回転中心が移動することが確認された.さらに,荷重下・動的条件下における各症例に対する治療計画を試作器を用いてソフト化しており,各症例における症状に応じた可変パラメータを検討した. 本研究における生体組織の過負荷を回避するメカトロ機能は,現時点でアクチュエータ等の小型化に限界があり,同機能の他への応用を模索した.整形領域における術後のリハビリテーションに用いられているCPM(Continuous Passive Motion)は,症例に応じ患部の緊張や過大応力等の発生が危惧されており,本開発Z術の転用により大きな効果が期待される.従って,症例に対応したプログラムを実行できる5軸制御CPMの試作を検討した. インテリジェント装具に関し臨床的なアイデアの有効性は概ね確認されたが,研究開始当初より問題点として挙げられていたメカトロ機構の小型化は現状のZ術では困難であり,今後,アクチュエータの基本設計から再検討を行う.
|