研究分担者 |
森脇 武夫 広島大学, 工学部, 助教授 (00166456)
橋本 晴行 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70117216)
宝 馨 京都大学, 防災研究所, 教授 (80144327)
渡邊 明英 広島大学, 工学部, 助教授 (00240474)
奥村 誠 広島大学, 工学部, 助教授 (00194514)
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研究概要 |
(1)集中豪雨による広島県土砂災害に関する調査研究 広島土砂災害の原因は,前線による豪雨がまさ土斜面に2〜3時間集中したことである.この豪雨は山地の影響を受け狭い幅で帯状に生じていた.レーダー雨量計は豪雨の特性を知る上で有効であった(福岡・渡邊).今回の雨量は広島県で記憶されてきた豪雨と同程度である(宝).地中水分量を解析して土砂災害の危険性を予測できる可能性は高い(福岡・渡邊,森脇).降雨以外の原因として,地質や地形の他,花崗岩のマイクロシーティングの形成が挙げられる(千木良).土石流被害の特徴として,大レキを含まない泥流が流木とともに流下したことが挙げられる(海掘,江頭).土石流の挙動は解析モデルによって表現可能で,これによってハザードマップの作成,対策効果の検討が可能である(江頭).住民は降雨等の事前情報だけでは避難しないが,濁水やがけ崩れの確認や避難勧告等によって避難行動を採る可能性が高い(奥村).したがって,土砂災害を少なくするためには,防災意識を高めると共に,災害時に情報をいかに正確に素早く伝達するかが肝要になる. (2)福岡市における都市型水害に関する調査研究 北九州に生じた豪雨は寒冷前線付近の暖域レインバンドによるものであった(守田).博多湾の満潮と豪雨による御笠川の増水が重なり,地盤が低いJR博多駅周辺に氾濫被害が生じた(戸田,橋本,多賀).地下へ氾濫水が侵入し,逃げ遅れた死者が発生した(多賀).地下への氾濫水侵入防止には,土嚢の使用や地下入口の工夫が有効である(橋本,戸田,多賀).地下への情報伝達や水害対応が遅れており,的確な伝達及び指揮が必要である(多賀).今回の災害は,豪雨と都市化による流量増大に満潮が重なったことが原因であり(戸田,多賀),まず都市化を考慮した河川整備,総合治水対策を推進することが望ましい(戸田).また,地下への氾濫水侵入防止施設の設置と共に地下空間における防災意識向上が必要であろう(戸田,多賀).
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