研究課題/領域番号 |
11832004
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 弘行 千葉大学, 工学部, 教授 (20009757)
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研究分担者 |
寺内 文雄 千葉大学, 工学部, 助教授 (30261887)
久保 光徳 千葉大学, 工学部, 助教授 (60214996)
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キーワード | 車椅子 / 乗り心地 / 人体振動 / 振動シミュレーション / 三次元人体モデル / 有限要素法 / 振動様式 / 重回帰式 |
研究概要 |
本研究は、福祉車両によって移動する車椅子搭乗者の快適性向上の可能性を探るために、車両移動中に振動に曝される車椅子とそれに搭乗する使用者を車椅子-人振動系と捉え、振動工学的側面からその乗り心地も含む振動特性の解明を試みたものである。福祉車両を日常的に使用する車椅子利用者への聞取り調査と実福祉車両における車椅子搭乗実験を通して、この車椅子-人振動系の振動特性を、物理学的観点のみでなく心理学的観点からも定量的に評価するための評価方法を検討した。その検討結果を踏まえて、振動環境を制御することができる導電型シート加振装置による車椅子搭乗実験を実施し、搭乗者人体の振動伝達特性測定、身体各部位の振動感覚評価、そして乗り心地評価を実施した。その結果、各被験者ごとの振動挙動傾向は異なるものの、共通して頭部および胸部上下の揺れが乗り心地に大きく影響していることを確認することができた。特に、振動周波数4Hzでの頭部上下振動と5Hzでの頭部前後および上半身の上下振動が、最も乗り心地に悪影響を与えることが明らかとなった。このことより、本論文では、それぞれの振動周波数において不快とされる人体の振動様式(揺れ方)を抑制するかもしくは変質させることにより、その乗り心地を改善できると結論付けている。さらに、この乗り心地改善の可能性を検討するために、有限要素法に従った車椅子-人振動系モデルを構築し、実測値との整合を図ることで、そのモデルの妥当性を示している。そして、この振動モデルを使用して、座部物性のみを変化させた場合、その人体の振動の大きさだけでなく、その振動様式にも変化を与えることを確認した。さらに、前述の車椅子暴露実験結果より定義した乗り心地と身体各部位の振動特性との関係を記述する重回帰式を用い、このシミュレーションにより得られた振動特性変化が乗り心地を改善することの可能性を示唆した。
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