研究概要 |
本年度は,「環境騒音シミュレータ」に関する下記の3課題について研究を推進した。すなわち, 1.国内特許出願「耳栓型電気音響変換装置」を用いた録音・信号処理・受聴システムの設計・製作 2.視覚と聴覚の相互作用や統合効果の観点から,提案している一般的・平均的な騒音性状を持つ二点音源自動車騒音源モデルによる上記受聴システムを用いた騒音シミュレータと特定の現場の録画・録音・再生システムとの比較検討 3.車種判別,車速,騒音レベル等に関する自動測定装置と「うるささ」・「色相」騒音計による大画面表示システムの設計・試作 課題1は,暗騒音がある現場でも視聴でき,かつ方向感や距離感,移動感といった臨場感のある騒音体験システムの構築を目指している。(1)耳栓とアクティブ耳栓を使用して周囲騒音を低減するシステム,(2)その耳栓を直接駆動する電磁型電気音響変換器を接着した新しいイヤホンシステム,(3)耳栓と鼓膜に囲まれた外耳道内小容積の音圧を測定する超小型マイクロホンシステム,および(4)メガネタイプのディスプレイシステム等を設計・製作した。 課題2は,上記システムを用いて自動車騒音源シミュレータを構築し,バーチャルリアリティの観点から検証実験を行った。その結果から,(1)視覚系と聴覚系を組み合わせると,視覚と聴覚の統合効果により,移動感,距離感等が得られること,(2)「うるささ」に関する自動車騒音源シミュレータによる心理的影響の程度と現場視聴実験結果との整合性が得られること,(3)具体的には,「少しうるさい」はL_<AE>で76dB前後,「うるさい」は82dB前後に対応していることなどがわかった。結論として,実際に自動車騒音環境にいるような心理的感覚が得られているといえる。 課題3は,有効な自動車騒音源対策を実施するために,道路を走行する各自動車の単発騒音暴露レベルあるいはピ-クレベルを測定し,環境騒音に対する寄与の啓蒙・教育システムの構築を目指している。
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