研究概要 |
感性工学は代表者の長町三生によって開発された新製品開発技術であり,消費者の感性を把握しそれを設計ベースへ写像することで消費者の感性にフィットした製品を開発することができ,これまで自動車・家庭電気・建設機械・衣服・化粧品などでいずれもヒットして評判の高い技術である.ところが人間の感性は元来非線形性の特質を持っているといわれており,これまでは正規分布を仮定した統計分析手法により設計要素を決めていた. 本研究では、(1)二次元図形(長方形)の一辺を変数としたときの感性評価、(2)三次元図形(直方体・紙パック,コーヒー缶、冷蔵庫)の一辺を変数としたときの感性評価、(3)ヘアの長さを変数とした女性の顔の感性評価、という3種の実験を実施し、感性データの分析形状、回帰分析による検討、因子分析及び数量化理論1類による分析などにより感性の非線形性について分析した. 結果は,(1)感性の因子として、物理因子(大きい-小さい,重い-軽いなど)、記憶・体験因子(知的な-知的でない、使えそう一使いにくそうなど)、価値印象因子(美しい-美しくない,上品な-上品でないなど)に分かれ、それぞれの因子に関連する感性ワード群ごとに分類してみると、物理因子に相当する感性ワードは線形性を表し、あとの2つの因子は非線形を表していることが判明した.つまり,結論として、感性の線形性-非線形性は感性ワードそのものに依存して評価対象には独立であることがわかった.
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