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2001 年度 実績報告書

コガネムシ上科の系統と食性の進化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11833007
研究機関九州大学

研究代表者

荒谷 邦雄  九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (10263138)

キーワードコガネムシ / 系統 / 食性 / 進化 / ミトコンドリアDNA / 形態 / 甲虫目 / 栄養生態
研究概要

コガネムシ上科の各分類群の系統解析に関しては、まず、クワガタムシ科について、幼虫形態および16SリボソームRNA遺伝子を用いて世界の全亜科、アジア産のほぼ全属間の系統関係を明らかにした。また、分類学的に混乱が多いDorcus属に関してはRAPD法やCOI遺伝子による解析も行い、属内の詳細な系統関係も明らかにすることができた。16SリボソームRNA遺伝子を用いてクロツヤムシ科に関しては世界の全亜科間、コガネムシ科に関しては全世界のカブトムシ亜科の主な属間の系統解析を行った。さらにコガネムシ上科全体に関しては、16SリボソームRNA遺伝子を用いてクワガタムシ科、クロツヤムシ科、コガネムシ科、センチコガネ科、コブスジコガネ科、アカマダラセンチコガネ科、アツバコガネ科の科間の系統関係を明らかにし、後翅脈等の構造に基づいて構築されていた従来のコガネムシ上科の系統関係との比較を行った。得られた系統関係に基づき、クワガタムシ科をはじめとする食材性の群における褐色、白色、軟の各腐朽型への選好性の進化が主に幼虫の木材構成高分子に対する消化能力の獲得と深く関わっていることを明らかにした。さらに腐植物食性のテナガコガネ等や好白蟻性の群に関しては、高窒素含有量を求めて食材性のものから二次的に移行した可能性が高いことを示唆した。これは腐植物食性が原始的な食性であるとする従来の見解を大きく改めさせるものである。さらに食性とも深く関わる亜社会性の起源に関しても議論すると共に、亜社会性のクロツヤムシ科では食性の違いが前肢や体の厚み等の形態変化をもたらしていることをも明らかにした。
これらの調査研究成果の部を国際動物行動学会第27回大会(ドイツ)や日本昆虫学会第62回大会(仙台)などの内外の関連学会で講演するとともに、論文としてまとめ内外の関連学会誌等に発表した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Araya K.Kon, M., M.Tanaka: "Notes on the genus Eulucanus Didier, 1927, a junior synonym of the genus Prosopocoilus Hope and Westwood"Kogane. 2(1). 28-32 (2001)

  • [文献書誌] Kunio Araya: "New Records of Cerchus lignarius monticola NAKANE, 1978 (Coleoptera, Lucanidae) from Fukui Prefecture, Central Japan, with the Reference to Lucanid Fauna of Fukui Prefecture"Spec. Publ. Japan Coleopt. Soc. Osaka. 1. 271-273 (2001)

  • [文献書誌] Hosoya, T., Honda, M., Araya, K: "Genetic variation of 16S r RNA gene observed in Ceruchus lignarius and Dorcus rectus rectus (Coleoptera, Lucanidae)"Entomol. Sci.. 4(2). 335-344 (2001)

  • [文献書誌] Hosoya, T., Sirota, Y., Araya, K: "Molecular phylogeney of Japanese and Taiwanese stag beetles of the genus Dorcus and its allied genera (Coleoptera, lucanidae) based on random amplified polymorphic DNA"G. it. Ent. (印刷中). (2002)

  • [文献書誌] Kon, M.Araya, K., Y.Johki: "The relationship between microhabitat and relative body thickness in adult beetles of the Oriental passalid genera Aceraius, Macrolinus and Ophrygonius (Coleoptera, Passalidae)"Spec. Bul. Japan Soc. Coleopt. Tokyo. 5(印刷中). (2002)

  • [文献書誌] 荒谷邦雄: "腐朽材の特性がクワガタムシ類の資源利用パターンと適応度に与える影響"日本生態学会誌. (印刷中). (2002)

  • [文献書誌] 荒谷邦雄: "外来生物ハンドブック(外来カブトムシ・クワガタムシ〜人気ペット昆虫の新たなる脅威〜)"(印刷中)(分担執筆). (2002)

  • [文献書誌] 荒谷邦雄: "動物たちの気になる行動(小さなオスに立場はあるのか?〜クワガタムシやカブトムシの種内多型の謎〜)"(印刷中)(分担執筆). (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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