研究概要 |
1.パラオの海底洞窟から併来未知の殻形熊を示す奇妙な巻貝を発見し、新属新種(Pluviostilla palauensis)として報告した。 2.生きた化石」貝類であるオウベッコウガキがインド・太平洋各地の海底洞窟に生息することを明らかにし、海底洞窟貝類群の種組成には地域性はあるものの、共通の種群が卓越することが示唆された。 3.底洞窟に特有の巻貝類の一群ソビエツブ科巻貝2新属4新種を報告した。 4.シラタマアマガイ属2新種を含む6種の殻体を検討し,コハクカノコガイ属と単系統群を構成することを明らかにし,コハクカノコガイ科を再定義した。 5.コハクカノコガイ科の化石種を見いだし、同科は中新世にはすでに海底洞窟のような環境に適応していたことを明らかにした。 6.海底洞窟からそれらはクチキレエビスガイ科Larochea亜科の新属・新種を記載した。 Larochea亜科の諸種は深海に生息する種群であり、海底洞窟の貝類にしばしば見られる深海種との共通性がさらに確認された。 7.海底洞窟から地上に続くanchialine環境、hyporeic環境、更に河川域からコハクカノコガイ類の2新属、多数の新種を見いだした。また、ジャマイカの巻貝1種がコハクカノコガイ属であることを明らかにした。 8.沖縄本島の海底洞窟から微小甲殻類アミ目のHeteromysoides属の新種を見いだした. 9.海底洞窟のシラタマアマガイ属とanchialine並びにhyporeic環境および河川域のコハクカノコガイ属諸種の解剖学的に検討し,殻体構造から示唆された両属の単系統性を支持する一方,海底洞窟→地下水域→河川域とうい新たな陸上進出の経路を初めて明らかにした.また、海底洞窟のシラタマアマガイとアマガイモドキを含めたアマガイ上目の28S rDNAの分子系統解析をおこない、同上目の進化史において少なくとも3回の陸上進出があり、シラタマアマガイを含むコハクカノコガイ科は新生代漸新世までには海底洞窟のような隠生的な環境に適応し、地下環境を通じて陸上河川域に進出した可能性を示した。
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