研究概要 |
最近、通信、情報時代の到来と共にギガヘルツ帯域の電磁波が、飛躍的に衛星通信、移動電話等様々な通信機器に利用され始め、利用周波数帯が急速にGHz帯域まで拡張しつつある。しかし、同時にこれら電磁波の利用によって電磁環境・障害問題(Electo-Magnetic Interference)(EMI)も惹起されている。この為に本研究のアグネトプランバイト型(M型)フェライトがこのEMI問題の解決の為に、不要妨害電波を除去抑制する吸収体として期待されている。我々の最近の研究では、M型BaフェライトがGHz帯のマイクロ波に対処する有望な材料であることが分かっている。電波吸収体の吸収特性はその磁気共鳴現象を利用するもので、複素透磁率μ=μ'-jμ",複素誘電率ε=ε'-ε"、特に複素透磁率の虚部μ"=Ms/2Haα(Ms:飽和磁化、Ha:異方性磁界、α:減衰定数)に依存し、このμ"値が高い程優れた特性を示す。それ故、本研究ではM型六方晶BaフェライトBaFe_<12x>(Me_<0.5>Mn_<0.5>)_xO_<19>(x=0-4)(Me:Ti,Mn,Zr,Sn)において主成分のFe^<3+>イオンをTi,Mn,Zr,Sn,等の金属イオンで置換し、1.2MA/mの磁界中で配向させ1573K,10時間焼結して試料が作製された。Haを制御し飽和磁化Msを増大させ、吸収特性の向上を図りその効果を検討した。このフェライトのC-軸配向試料をトロイダル状に加工し、振動型磁力計とネットワークアナライザーにより電磁気測定が行われた。その結果、共鳴周波数fr=12.05-12.55GHz帯で反射ロスR.L.=-20dB以下を示し,μ_r'_<max>=6.3、μ_<rmax>"=6.0の高い値とマッチング厚さdm=0.51mmの小さい値が得られ、従来の等方性試料に比べμ_<rmax>"値で50%高く、dmで30%も小さい値が得られた。それ故、添加元素の種類、量、結晶学的配向度、焼結温度を検討することがギガヘルツ帯域の薄型の良好な電磁波吸収体を得る重要な因子になると結論される。
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