研究概要 |
高圧電場処理による非加熱的な乾燥方法の研究としてダイコンの切片を用いた結果、他の乾燥法に比べて収縮が少なく、色調も優れ、また、水で戻した時は水分吸収がよく、復元性に富み、固形物の損失も少なかった。さらに、ホウレンソウの鮮度保持には430kV/mで30分処理した時が最も効果的であり、水分損失やビタミンCの損失が少ないことが明らかになった。またユカン果実でも色調や腐敗率、蒸散率が抑えられた。一方、大豆油に対する酸化抑制効果を試験し、30kV/mで60分の処理が最も酸化を抑制した。さらに、遊離脂肪酸に対する作用を比較したところ、オレイン酸とリノール酸は異なった反応を示したが、230nmの吸収が両者ともに抑えられることが明らかになり、電場処理は共役ジエンの生成を押さえることによって酸化を抑制することが分かった。 一方、緑色香酸柑橘の長門ユズキチ果実フラベド抽出物を用い,フラボノイド酸化が関与するクロロフィル分解過程について調べた結果、フラベド抽出物に過酸化水素を添加すると,抽出物に存在するフラボノイドとクロロフィル分解ペルオキシダーゼによりクロロフィルの分解が促進されること、またクロロフィル分解中,ナリンギンのみが分解に直接関与することを認めた.スーパーオキシドアニオン生成下でクロロフィル分解が生じないこと,まだ,スーパーオキシドジスムターゼがクロロフィル分解反応を阻害しないことがわかった.以上の結果から,長門ユズキチ果実フラベドミ抽出物のクロロフィル分解ペルオキシダーゼによるクロロフィル分解は,まずナリンギンが酸化され,生じたナリンギンラジカルがクロロフィル分解に関与しているものと推察した.
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