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今年度は主にビルディング内における電磁ノイズの伝搬ルートを探り、効果的な電磁ノイズ軽減方法を得るための研究を実施した。得られた結果は以下の通りである。
(1)ビルディング内メタル導線における電磁ノイズ誘導・放射・伝搬機構の明確化
ビルディング内に敷設されているメタル通信線への高周波の外来電磁波による誘導特性、ならびに通信線からの電磁波放射特性を原理的に明らかにするため、撚り無しメタル通信線の数百KHz〜数百MHzにおける有効電力の平衡・不平衡変換特性を理論と実験の両面から検討した。まず理論面で、線路部分が均一に平衡が崩れていると仮定した3線状理論により撚り無しメタル通信線の分布定数回路での有効電力伝搬特性を解析的に求め、トランスなど局所的に不平衡を有する回路と継続持続して平衡・不平衡変換特性を計算する方法を検討し、実測値との比較により計算方法の妥当性を明らかにした。その結果、有効電力変換量の周波数特性は、メタル通信線長の約6倍の長さに相当する周波数以上になると周期的なハンプをうつ。また、メタル通信線の地上高が高くなったり、メタル通信線自身の有効電力変換量が小さくなると、端末のトランスなどの変換量特性にマスクされる、等を把握した。
また、高周波信号が流れている撚り無しメタル対線の電磁波放射特性の全般的な把握を行うとともに、高周波における平衡・不平衡変換特性と電磁波放射特性との関係を実測により検討した。その結果、高周波信号が流れている撚り無しメタル対線における電磁波放射特性と、近端で測定した平衡・不平衡変換特性には強い相関があることが解った。ただし、高周波における両者のハンプの周期、および極大・極小値の周波数値が異なることから、放射電界強度を平衡・不平衡変換特性から推定する場合、近端での平衡・不平衡変換量をポイント周波数で評価せず、極大値の包絡線で評価しておくことが重要であることを把握した
(2)ビルディング内における効果的な電磁ノイズ軽減技術
100MHzを越えるこのような伝導ノイズの装置への侵入を簡易に軽減する方法として、メタル導線に金属板を近接させる効果を検討した。その結果、表皮厚より十分薄い金属蒸着シートをメタル導線に併設すると導線を伝搬する有効電力を低減できることを実験的に把握した。さらにこの軽減効果が反射によるものではなく、金属板-アース間に有効電力が受け渡された結果であることを把握できた。
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