研究概要 |
高齢者および障害者の運動機能と精神機能を維持するために,屋外歩行は一訓練法として広く推奨されている.しかし,北海道などの積雪地域では,冬期間の屋外歩行は転倒の危険から回避されがちである. 寒冷地居住者の冬期間の身体活動量の実態と運動機能の変化を調査する目的で,屋外歩行が自立した60歳以上の健常高齢者および脳卒中片麻痺患者を対象とし,積雪前,積雪後,融雪後の3時点において,歩行量と身体活動量を計測し,運動機能を評価した. 歩行量の計測には万歩計を,身体活動量の計測には加速度センサーによる身体活動連続測定器を用いた.運動機能評価は歩行能力評価として10m歩行スピードを,耐久能評価として6分間歩行距離を,下肢筋力評価として連続立ち座り時間を,立位平衡機能評価としてタンデムバランスを行った. 健常高齢者3名(女3,平均年齢64.0歳),脳卒中片麻痺患者8名(男7,女1,平均年齢67.3歳)について,積雪前の身体活動量計測と運動機能評価を施行した.本報告書作成時点で,前述した被験者の積雪後の身体活動量計測と運動機能評価を再施行中である. 平成12年度の5〜6月に,融雪後の身体活動量計測と運動機能評価を予定している.積雪前,積雪後,融雪後の3時点における身体活動量と運動機能の結果により,身体活動および運動機能に及ぼす積雪の影響を検討する. 上記の検討の結果,積雪による身体活動量の減少および運動機能の低下を認めた場合,その対策を考案し,平成12年度の積雪時に試行する.
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