研究課題/領域番号 |
11835007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大井 直往 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90282045)
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研究分担者 |
漆山 裕希 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10302100)
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 教授 (00125501)
岩谷 力 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00092148)
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キーワード | PET / FDG / 歩行 / 筋の糖代謝 / 骨格筋麻痺 |
研究概要 |
【研究の目的】脳卒中や不全脊髄損傷や末梢神経障害などの骨格筋麻痺を持つ患者の上下肢の筋肉に、放射性同位元素でラベルしたブドウ糖(18F-fluoro-deoxy-glucose 以下18FDG)が歩行などの一定の運動でどの程度取り込まれるかをポジトロン断層装置(PET装置)で測定し、PET装置による3次元の画像によりブドウ糖の取り込み量と取り込まれる筋肉の種類・場所やその経時的変化を明らかにする。これにより麻痺筋の回復過程を筋肉のブドウ糖代謝という側面から明らかにすること。 【本年度の研究計画および結果】今年度は病的な骨格筋の糖代謝の変化を測定する準備として、健常な被験者11名を対象に放射線同位元素でラベルしたブドウ糖(18FDG)を注射した後に、自分の好きなスピードで歩行を15分間行わせ、その運動中に下肢の筋肉内に取り込まれた18FDGの分布状態をPET装置で計測した。そして解像力に劣るPET画像を補うため、ほぼ同時期に両下肢のMRI画像を撮影し、下肢の筋肉の場所を確認した上で筋肉別の18FDG取り込み量を計測した。15分間の歩行で下腿三頭筋にはStandarized Uptake Value(SUV)として平均1.11の取り込みが見られた。下腿部前面には0.98、大腿四頭筋には0.62、大腿部後面には0.63、足底には0.67ほどの取り込みが見られた。過去のデータより安静時における下肢筋への18FDGの取り込み量はSUVで0.4-0.5とされており、大腿よりも下腿三頭筋・下腿部前面への取り込み量が多かった。またこれらの症例において、筋肉への18FDGの取り込みと歩行パラメーターとの相関関係をみると、下腿三頭筋・下腿部前面・大腿四頭筋のSUVと歩行率の間、下腿三頭筋のSUVと歩行距離の間に有意な正の相関が見られた。重複歩距離やこれ以外の筋肉の取り込み量については有意な相関は見られなかった。この健常人のデータは、病的な骨格筋の測定での標準値として用いることができる。
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