脳卒中リハビリ患者や慢性腎不全患者等の障害者では治療効率の向上や健康状態の維持向上のために、体力は勿論、栄養状態も考慮されるべきである。体力面では呼気ガス併用運動負荷試験法を駆使し全身持久力の評価を行い、多方面への臨床応用を考えている。現在判明した点は以下のごとくである。脳卒中片麻痺患者で運動負荷時の酸素摂取応答と運動効率を検討したところ、退院時の最大負荷量および最大酸素摂取量は有意に増大し、△VO_2/△WRは有意に低下、酸素欠損および時定数の有意な低下を認めた。即ち、訓練により自立歩行が可能となる症例では単に持久力のみならず運動効率の有意な改善が示唆された(平成12年リハ医学会発表予定)。腎不全透析患者の運動負荷試験では現在のところ症例数が少なく一定の成績は得られていないが、慢性腎炎からの腎不全の方が糖尿病性腎症からの腎不全よりも運動耐容能が高いことがある、加齢の影響も存在、日常の活動度も関係のためか正常範囲の患者も結構存在と複雑な印象を受けている。なお、研究目的の国内外での位置付け欄で触れた脊髄損傷患者での検討では、損傷部位別による体力の差異(特に呼吸循環器系体力の指標に現われる差異)が明らかとなり、リハビリ医療を進めるにあたり%VO_2、VE、%VCに留意することが実用的であることを示した(神戸大学医学部保健学科紀要)。次年度は所期の研究の継続とともに、患者の栄養状態にっいては体格とともに、bioelectrical impedennce analysisにより体脂肪率・体内水分量などの体構成成分を検討予定である。
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