研究概要 |
関節の運動療法(リハビリテーション)を目的として装置の開発を行う。原理はジャイロスコープにより得られる繰り返しのモーメントを利用するものである。類似の既存の器械としてCPM器(Continuous Passive Motion Machine,連続他動運動器)がある。これは減少した関節の可動域(Range of Motion)を訓練により正常な範囲まで拡大することを目的とする器械であるが、「患者の身体を器械に装着する」器械と考えられる。これに対して本器は「器械を患者の身体に装着する」ものであり、身体の関節構造に依存した負荷が可能であり、応用性が高く、また原理的に「予定した負荷と同じかそれ以下のものしか身体には作用しない」器械であり安全な器械ということが出来る。高齢化と共に関節機能回復を必要とする高齢者は飛躍的に増大するものと思われ、医療機器としても、福祉機器としても大きな需要があると思われる。 発生する繰り返し負荷は、物理的にはモーメントの大きさ(振幅)と繰り返し速度(周波数)で規定される。「小型軽量装置」の製作の容易さからは、「振幅はより小さく、速度はより速く」という条件が望ましい。これに対して臨床側の条件は重量500グラム以下、振幅は20〜1Nm、速度は10〜0.1Hzである。使用するモータの検討(試作あるいは現存のものの利用)を行い、今回は現存のモータを用いることにした。 本年度は本装置を身体に装着した時に生じる負荷モーメントを測定する測定センサーの開発の準備をした。また適切な装着部位を選ぶためには身体の解剖学的理解が必要であり、関連するパソコンソフトを購入し検討した。 本装置の軽量化の為には、専用のモータの開発が必要である。そこでこのモータの開発に関心めあるモータメーカ(福島県川俣町、川俣精機(株))を訪問し、今後の開発の概要を確認した。
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