研究概要 |
研究2年目の本年度は,前年度の脳血管障害症例及び在宅介護症例の研究を発展させるとともに,研究対象に心疾患,筋骨格系疾患を加え障害特性把握の方法に検討を加え,予後予測,効果判定に用いることが可能となる項目群の抽出を中心として研究を進めた. 1,脳血管障害症例では,総合評価と移動歩行能力評価との整合性の再確認を行うため,実測での障害分類と理論的障害分類との差がどの程度生ずるか検討を加えた.(文献2編:清水他,2000) 2,在宅介護症例を対象とする研究では,厚生省が提示する60例のモデル状態像が介護認定時の症例の重症度評価に妥当なものかクラスター分析などの統計的手法で調べた.その結果,要介護度の低いモデルではよく分類できるものの,介護度が高くなると分離が困難となることが認められた.分離をよくするために,リハビリテーション,理学療法領域で用いられる評価項目の尺度構成の再検討が必要であると考えられた.(文献2編:白鷹他,2000,2001) 3,心臓リハビリテーションで,運動訓練などの理学療法の効果判定をどのように行うか,盛んに研究が進められている.本研究では、まず対象となる急性期心筋梗塞直後の症例の臨床症状と背景因子を統計的に整理した.次いで,機械的トレーニングを中心とした理学療法の適応と効果の評価法を論じた.(文献2編:松永他,2000,2001) 4,人工股関節置換術後症例の機能障害,能力障害を日本整形外科学会判定基準で測定し,健康関連QOLをSF-36で測定した.理学療法の効果は機能障害,能力障害,社会的不利の各レベルそれぞれ単独に測定し把握できるが,本研究では構造方程式モデルを用いて,機能障害と能力障害との相互の因果関係を把握した.(第38回日本リハビリテーション医学会学術集会で発表予定)その後QOLをモデルに加え検討を続けている.(1st ISPRM Congressで発表予定)
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