研究概要 |
健常者の咽頭期嚥下音と舌骨上筋群の表面筋電図による嚥下評価 対象者は本研究についてインフォームドコンセントが得られた健康成人である。性別は男性1名、女性14名で平均年齢が25.9歳である。被験者は頚部を軽度屈曲位にした座位姿勢にて液体(水:1ml,3ml,5ml,7ml,10ml)と固形(プリン:丸呑み嚥下,咀嚼後の嚥下)に分類して嚥下した時の咽頭期嚥下音と舌骨上筋群の表面筋電図から嚥下評価を施行した。 1.嚥下音は右側頚部(甲状軟骨上端から1cmほど後方・下降した部位)に加速度心音トランスチュサーを装着し、増幅・A/D変換器を介してコンピュターに入力する。 2.同期に下顎の舌骨上筋群の表面筋活動を指標にして一定した大振幅部分を呈する部分が嚥下第2期に相当するので、この筋活動の時間が測定時間の基準として定めた。 測定は舌骨上筋群の大振幅部-1)持続時間、2)平均振幅を計測する。嚥下音は3部構成(低振幅-高振幅-低振幅)からなり、特に高振幅は食塊が下咽頭から上部食道を通過する時間に一致するので、3)高振幅の出現時間、4)嚥下音の持続時間、5)嚥下音の振幅を計測する。分析はSpearman順位相関係数と周波数分析から最大エントロピー法(MEM)を求めて嚥下時の平均最大周波数を算出した。 舌骨上筋群の持続時間は食形態や量に関わらず平均0.40 sec以内であった。 振幅は液体の増加にともなって漸減した。嚥下音の高振幅の出現時間は平均0.24sec以内であった。嚥下音の持続時間は液体の増加に伴い延長を示した。嚥下の振幅は液体よりも固形で低下していた。MEMは液体7ml以上あるいは固形物の嚥下状態で平均1000Hz以上の高周波を認めた。 この研究は平成12年3月4日、第13回日本リハビリテーション医学会関東地方会で発表。
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