研究概要 |
高齢者や障害者の更衣動作の自立促進のための基磁資料を得ることを目的として主とし3つの事項について検討した。(1)衣生活の工場を目指すための健常高齢者を対象とした質問紙調査、(2)ユニバーサルファッションに配慮した着脱しやすい被服設計要件把握のための6種上衣服の着用実験、(3)更衣時の関節可動域推定のためのFASTRAKトラッツキングシステムである。いずれも現在解析中である。得られた結果はつぎの通りである。 (1)有効回答者数は高年男女および若年女子合計1,128名である。更衣動作にかかわる質問24項目に林の数量化III類法を用いて解析した。48個の一軸と二軸のカテゴリーウエイトをプロットすると、各項目はU字型に分布することから、更衣動作の低下の度合いが一軸のカテゴリーウエイトで順番づけられた。これは高齢者が上手く更衣できる被服を設計する際に有用な資料となる。 (2)体型別に6サイズを設定し、37名の高齢者に着用実験を行った。腕入れ腕ぬきが上手くできるには24cmかそれ以上のゆとりが必要であった。更衣を自立して行うにはバストラインのゆとり量は、被験者の形態や身体運動機能によるが、24〜36cm必要である。 (3)FASTRAKトラッツキングシステムは更衣時肩関節の柔軟性を評価するために適用された。トランスミッタにより生成される磁場の有効範囲内が半円球になることから、この範囲で測定が必要である。このシステムについては予備実験に留まった。
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