研究概要 |
聴覚障害者のための音声・手話・文字情報のマルチメディア伝達システムの研究課題(平成11〜12年度,1999〜2000年度)の第1年度(1999年度)には,システムな枠組みを構成するための,つぎの3種類の基礎資料を整える作業をした。 1.口形によって伝わる音声情報 発話に伴う口形の変化によって視覚を通して伝わる言語的な情報を,詳細に解析するためのシステムを作成した.このシステムでは,口形を発音動作のレベルで表記する記号体系を作り,口の動きの解剖構造的なモデルで関与する筋群の収縮を介して,これを神経レベルで制御する規則を作り,口形の3次元的な形状を合成する. 2.発音の歪みと歯列の形状の関係 幼児の発音の歪みの原因と解消の経過を系統的に解明して,難聴児の発音の歪みの改善の方策に参考にするために,東北大学歯学部で歯列の形状と発音の歪みの関係についてデータを収集して,生じる音声の音響的な性質との対応を検討した. 3.聴覚障害者の言語媒体の使用能力 聴覚障害者が使っている音声・文学・手話などの言語媒体の使用状況について,厚生省の国立リハビリテーションセンターの調査資料にもとずいて,現在15〜20才の若い世代が,とくに残存機能の活用,読唇の利用,指文字の使用,手話の使用などの能力を,どのように向上させる可能性があるかを予測した.
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